『50円のコスト削減と100円の値上げでは・・・』を読んで
林總さんのご著書『50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?』を拝読いたしました。(タイトルには30文字制限があるので正式な題名を書ききれませんでした。)
林總さんは公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授を務められています。1974年中央大学商学部卒業後、外資系会計事務所、監査法人勤務を経て、独立、現在は経営コンサルティング、執筆、講演活動などでご活躍されています。
このブログでも林さんのご著書を紹介したことがあります。
「『貯まる生活』を読んで」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e898984.html
「『ドラッカーと会計の話をしよう』を読んで」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1161841.html
「過去の無駄な支出」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1162587.html
林さんの会計の本は分かりやすく、私にとっては必ず新しい気付きを与えてくれます。
その根底にあるものはP.Fドラッカーの理論なんですね。あとがきにはそのことがはっきり書かれていますし、参考文献はドラッカーの『創造する経営者』と『現代の経営[上]』になっています。
東京経営大学の菅平ヒカリが、インターンとして働くファミリーレストランチェーンの業績の悪い店舗を立て直すというストーリーにのって、管理会計が学べるようになっている本です。
ストーリー自体は簡単ですが、要の部分を読みこなすには基本的な会計の知識が必要です。ある程度の知識のある方であればすいすい読んでいけると思います。
この本で私が初めて知ったのは、利益ポテンシャルという考え方です。
利益ポテンシャル(PP)は、限界利益を在庫金額で割ったものですが、現金を稼ぎ出す力を表しているものだそうです。
PPを分解すると、限界利益率(限界利益を売上高で割ったもの)と在庫回転速度(売上高を在庫金額で割ったもの)の積になりますので、分かりやすくなります。
たとえ限界利益率が同じ商品があったとしても、回転速度が遅ければ現金が寝てしまうので、資金が足りなくなってしまいます。
このストーリーでは、レストランのメニューの中でもPPの高い商品を見つけて、それをおすすめ商品にしていけばいい、ということになっていきます。
菅平ヒカリを指導する東京経営大学の安曇教授が言います。
「まずは顧客の視点に立つことだ。君たちは、ついつい『この料理なら客は満足するに違いない』と思いがちだ。そうではなく、ロミーズで食事をしないことも選択できる客の立場で考えなさい、ということなんだ」
このあたりはドラッカー的な香りがしますね。
林さんの本は勉強になりますので本当にありがたいです。
みなさまもぜひご一読ください。
参考文献:『50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?』 林總 (ダイヤモンド社)
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