『世界一わかりやすい会計の授業』を読んで
林總(はやしあつむ)さんのご著書『世界一わかりやすい会計の授業』を拝読いたしました。
林さんは公認会計士、税理士で、LEC会計大学院教授を務められています。林さんのご著書は今までも何度かご紹介しております。
『貯まる生活』を読んで
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e898984.html
『ドラッカーと会計の話をしよう』を読んで
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1161841.html
過去のムダな支出
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1162587.html
『50円のコスト削減と100円の値上げでは・・・』を読んで
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1173744.html
『世界一わかりやすい・・・』という題名からは会計の手法を教えてくれる本のように思えてしまいますが、スキルやテクニックを教えてくれれる本ではありません。会計の考え方を教えてくれる本です。会計について全く知らない人が読んでもよいのですが、少し分かっている人が読むと頭がよく整理されます。
経営者が読むのが効果的ではないかと思います。
林さんは、安易な人減らしは会社の経営に大きな傷を残す、といいます。
高品質の製品は、高度に訓練された従業員によってつくり出されます。つまり、いつでも削減可能な非正規社員でもつくることができる製品は、高付加価値製品ではないということです。しかも、他社の社員である派遣社員に高度な訓練をするはずもありませんから、派遣社員を多用するほど、ビジネスプロセスにおける価値変換効率は悪化し、知らぬ間に企業の技術力が低下していたのです。
また、外国でも労働力の質が日本の労働者と変わらなければ、あえて高い賃金を払って国内で生産する必要はなく、いったん円高に振れると企業は工場を海外に移してしまうのです。
要するに、付加価値の高い製品をつくる会社にとって、「固定費は固定的に生じるべき費用だから固定費」なのです。
『世界一わかりやすい会計の授業』 p174より引用
売上げが伸びない厳しい環境下において会社の利益を上げるためには、コストを削減しなくてはいけないという話になります。
コストを削減するということになると、変動費ではなくて固定費を削減しなさい、では人件費は固定費化されていませんか?というのが会計の先生からよく聞く道筋だと思います。
しかし、それはあくまでも結果的に数字をよく見せるための手法であって、企業の経営とは関係のないことでした。
数字だけを見ていると経営を見失ってしまうことがあるということです。
林さんは固定費は自然に増殖するものだとして、イギリスの政治学者、シリル・ノースコート・パーキンソンの発見した「パーキンソンの法則」を紹介されています。
第一法則「仕事は、その遂行のために利用できる時間をすべて埋めるように拡大する」
第二法則「支出の額は収入の額に達するまで膨張し」
第三法則「拡大は複雑化を意味し、組織を腐敗させる」
『世界一わかりやすい会計の授業』 p177より抜粋
「組織の拡大→ムダな仕事が生まれる→人を要求する」というわけです。ありますね、これ・・・・・・
林さんの本は切り口が独特で大変わかりやすいので、書店で見つけるといつも好んで購入します。
みなさまもぜひご参考になさってください。
参考文献:『世界一わかりやすい会計の授業』 林總 (中経出版)
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