イノベーションを起こすために
ドラッカーは『明日を支配するもの』のなかで「チェンジ・リーダーとは、変化を機会としてとらえる者のことである」と述べています。
そしてチェンジ・リーダーとなるために必要な条件として以下の四つを挙げています。
1.変化を可能にするための仕組みとしての廃棄
2.組織的改善、日本でいうところのカイゼン
3.成功の追求
4.イノベーション
このうち1番、3番については前にご紹介しました。
ブログ:「変化のための廃棄」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e991344.html
「成功の追求」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e994695.html
4番の「イノベーション」について、ドラッカーの『明日を支配するもの』より引用します。
しかし、体系的なイノベーションの仕組みを必要とするのは、イノベーションそのものよりも、チェンジ・リーダーたらんとする姿勢を組織中に浸透させるためである。組織の隅々にいたるまで、変化を機会とみるようにさせるためである。
『明日を支配するもの』より引用
そのために半年もしくは一年ごとに、次に挙げる7つの領域を体系的に精査していくことが必要だ、とドラッカーはいいます。
(1) 自らおよび競争相手の予期せぬ成功と失敗
(2) 生産、流通におけるプロセス・ギャップ、価値観ギャップ
(3) プロセス・ニーズ
(4) 産業構造と市場構造の変化
(5) 人口構造の変化
(6) 認識の変化
(7) 新しい知識の獲得
『明日を支配するもの』より引用
佐藤等先生によれば、これらの7つの領域は起こる可能性の高い順番に並んでいるのだそうです。
一つずつみていくと検討が必要であるとは分かるのですが、では、半年ごとに精査しているかといえば、私は全くしておりませんでした。
大きな話になるので、社長が知っておけばよいだろう、社内会議にはなじまないだろう、と考えてしまっていたからです。
イノベーションを起こすにはこれらを社内で共有することが必要ではないか、と思います。
三度『明日を支配するもの』からです。
イノベーションとは、天才のひらめきではない。仕事である。チェンジ・リーダーたるためには、このイノベーションという仕事を、組織のあらゆる部門、あらゆる階層において、日常の仕事としなければならない。
『明日を支配するもの』より引用
仕事として組み込むことができれば、どんな業種のどんな立場の人にもイノベーションを起こすことができる!ということが分かります。
チェンジ・リーダーたる経営者としては、明日からの経営のために組織にイノベーションを起こす仕組みをつくらねばなりません。
参考文献: 『明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命』
P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
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