夏痩せ

Hitoshi Yonezu

2010年08月22日 10:00

 万葉集には夏痩せの人を嘲り笑う大伴家持の歌があるそうです。
 
 
 石麻呂(いしまろ)に吾物申す夏痩せに良しといふ物ぞ鰻とり食(め)せ
 
 (石麻呂さんよ、夏痩せの予防によいから鰻を捕って食べろよ)



 日野草城には、食欲旺盛で活発な女性を疎ましく眺める俳句があります。

 
 夏痩せも知らぬ女をにくみけり     日野草城 



 私のまわりだけでしょうか、最近は夏痩せしたという話をあまり聞かなりました。

 いまはどこへ行っても冷房が効いているし、夏でも食べたくなるようなおいしいものがたくさんありますので、季節感がなくなってきましたね。

 私は家ではそうめんばかりを食べていますが、外へ出れば肉でも魚でも何でも食べてしまいます。残念ながら、食欲がなくなるということはほとんどないのです。



 私の寝室にはクーラーがないので、このところ毎日、暑さで目が覚めます。

 枕カバーもシーツも毎日洗濯です。

 ときどきホテルに泊まると、いつもよりよく眠れたな・・・こんなに涼しかったっけ・・・あ~今日はホテルだったんだ・・・と朝、実感します。

 暑くても眠れてしまって、夏痩せしません。

 せめて夏の夜の暑さは我慢して、季節感を残しておいてやろうか・・・と思っています。 
 
 

 参考文献:『季語集』 坪内稔典 (岩波新書)
 

関連記事