不忍池
蓮池の深さわするる浮葉かな 荷兮 (春の日)
初夏を迎えた上野の不忍池です。
蓮の若葉が水面を抜き、大きく葉を広げようとしている頃合いでした。
荷兮は、蓮の浮葉をみていると、その下の池の深さを忘れてしまうといいます。
私も子供のころは、蓮の葉の上をすばやく走れば、沈むことなく池を渡り切れるのではないかと本気で考えていました。
それがありえないことだとわかったのは、フィールドアスレチック(今はあまり聞きませんね)に遊びに行ったとき、池に浮いた材木の上を走って渡る遊具で、ずぶずぶと池に落ちたからです。
あとしばらくしますと、不忍池の蓮の葉ももっと厚く、もっと大きくなります。
その密集ぶりを目の当たりにしますと、もしかしたら、この葉の上を走れるのではないか・・・と、またまた考えてしまいます。
山本荷兮かけい)は、江戸時代の尾張名古屋の俳人です。生業は医者だったそうです。もともとは芭蕉の門下でしたが、内紛により蕉門と袂を分かち、晩年には復古調の連歌師になったそうです。
人びとは、池の周りで束の間の休息をとっています。池の一帯が癒しの雰囲気に覆われていました。
参考文献:『角川俳句大歳時記 夏』 (角川書店)
参考サイト:『山本荷兮』
http://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~itoyo/basho/whoswho/kakei.htm
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