現場にマネジメントを任せるには?
少しずつ暖かくなり、春らしさが感じられるようになりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、このブログでは『マネジメント』の中巻を読んでいます。今回は「マネジメントの権限」という節から重要な部分を抽出してご紹介します。
いかなるマネジメントを行うかはトップマネジメントが決める。そのための最終製品が決定され、事業上の目標が設定される。
しかしマネジメントの仕事は、下から決めていかなければならない。生産、販売、設計の最前線の活動からスタートしなければならない。すべては最前線のマネジメントの仕事ぶりにかかっている。上層のマネジメントの仕事は、この最前線のマネジメントを助けるための派生的な仕事にすぎない。
あらゆる権限と責任が最前線にある。彼らにできないことだけが上層にゆだねられる。いわば、最前線のマネジメントが組織のDNAである。上層の機関のなすべきことは、すべてそこで規定される。
マネジメントが行うことのできる決定の限界については、一つだけ簡単なルールがある。GEの電球事業部の内規は、アメリカ憲法をなぞって、「明文をもって規定されていないかぎり、権限は下位のマネジメントにある」としている。これは「命じられていないかぎり、すべては禁じられる」とのプロシア法の考えの逆である。 担当する仕事について行うことのできない決定は、すべて明文をもって明らかにしておかなければならない。他のことについては、すべて権限と責任を有するものと解さなければならない。
『マネジメント(中)』第32章「マネジメントの権限」p50-52より抽出して引用
この企業の経営理念は何か?
この企業はなんのために存在するのか?
どのような事業を行っていくのか?
・・・など、企業の最重要事項を決めるのは、社長です。しかし、それをどのように行っていくかについては、現場の最前線のマネジャーに任せるべきなのです。社長の仕事は、経営理念のもとで、最前線のマネジャーを助けることです。
GEの事例にありますように、「やってはいけない」と書いてない限り、すべては現場のマネジャーに権限と責任があります。権限と責任の両方ですから、自分で決めたことは当然自分で責任をとってもらうことになります。
権限と責任をセットにして下位のマネジャーに移管していかないとマネジメントは機能しません。社長としてはすべてのことに口を出したい気持ちがありますが、それをやり始めると、マネジメントにはなりません。家業のごとく、一日中、社長が怒鳴り、騒ぎ続けることになってしまうでしょう。
ただし、現場のマネジャーに任せる際には、大前提として、現場のマネジャーは、企業の経営理念をよく理解し、納得し、賛同していなければなりません。この前提がなくして任せることはできないでしょう。
私自身も社内で繰り返し繰り返し経営理念を説き続けていますが、どのくらい分かってもらえているのか?不十分であると反省しております。まだ到達点は見えません。
季節の変わり目です。みなさまどうぞご自愛くださいませ。今月もどうぞよろしくお願いいたします。
参考文献:『マネジメント 課題、責任、実践(中)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
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