2022年07月02日 11:01
わかっていることで最も重要なことは、仕事と働くことすなわち労働とが根本的に異なるということである。もちろん働く人が仕事を行うのであって、仕事は常に人が働くことによって行われる。しかし、仕事を生産的なものにするうえで必要なものと、人をして成果をあげさせるうえで必要なものとはまったく異なる。
『マネジメント(上)』p231より引用
The most important thing we know is that work and working are fundamentally different phenomena. The worker does, indeed, do work; and work is always done by a worker who is working. But what is needed to make work productive is quite different from what is needed to make the worker achieving.
“ Managerment : tasks, responsibilities, practices”
われわれは仕事を未熟練労働、熟練労働、知識労働に分けるが、これは間違いである。仕事が未熟練であったり、熟練であったりするわけではない。働く者が未熟練であったり、熟練であったりするだけである。仕事そのものは変わらない。
かつては靴をつくるのに熟練を要した。しかし一〇〇年も前から、さほどのスキルは必要なくなった。いまや完全にオートメ化して肉体労働を不要にしてしまうことさえできる。それでも靴という製品は変わらない。仕事のプロセスも変わらない。革を用意し、裁断し、折り曲げ、縫い、のりづけする。製品にいたるまでのステップに違いはない。ツールやスキルは変わっても靴をつくるという仕事は変わらない。手製か機械製かさえ一瞥しただけではわからない。
仕事を生産的なものにするには、仕事が客観的な存在であり、スキルや知識は、仕事側ではなく労働側の問題であることを認識しておかなければならない。なぜならば、仕事がそのようなものであるからこそ、仕事を生産的なものにすることに体系的に取り組むことができるからである。
『マネジメント(上)』p251より引用