マネジメントの必要性

Hitoshi Yonezu

2020年10月01日 10:00

 秋の声が聞こえる美しい季節になりました。みなさまいかがお過ごしですか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、ドラッカーの『現代の経営(上)』「第10章 フォード物語」を読んでおります。前回ご紹介したように、フォードの独断的なワンマン経営と秘密警察による人事管理は失敗に終わりました。

 老フォードは、フォード社を個人の所有物としてマネジメントした。そして彼の経験は、法律上の規定はどうあれ、近代企業がそのようにはマネジメントされえないことを明らかにした。企業に寄託された資源は、一人の人間の一生という時間的な制約を超えて富を生む。企業は永続する。そのためには経営管理者が必要である。
  また、企業のマネジメントはあまりに複雑であって、たとえ中小であっても一人の人が助手を使って行うことはできない。組織され一体化したチームが必要である。チームのメンバーが、それぞれマネジメントの仕事を行うことが必要である。

               『現代の経営(上)』 p162より引用


 原書を見てみましょう。 

 The older Ford ran his company quite consciously as a single proprietorship. His experience proves that, whatever the legal rules, the modern business enterprise cannot be run this way. The resources entrusted to it can produce wealth only if they are maintained beyond the life-span of one man. The enterprise must therefore be capable of perpetuating itself; and to do this it must have managers. The complexity of the task is such, even in a small business, that it cannot be discharged by one man working with helpers and assistants. It requires an organized and integrated team, each member of which does his own managerial job.

       "The Practice of Management" Peter.F.Drucker


 家業と企業の違いを考えればわかりやすいと思います。家族の幸せのために成果を上げる家業の考え方を否定するものではありませんし、素晴らしい成果を上げている家業はいくらでもあります。
 しかし、企業を標榜するのであれば、企業とは、創業者一代で終わるものではなく、永続するものであり(perpetuating)、寄託された資源を活用することで人間の一生を超えた富(produce wealth only if they are maintained beyond the life-span of one man)を生んでいくものである、ということを根底に考えなくてはならないのです。

 社長とそのヘルパー、アシスタントだけで、経営はできないということをフォードは教えてくれました。企業経営は複雑ですから、どうしてもマネジメント(経営管理者)が必要になるわけです。

 コロナ禍における経済はだんだんと回復しているようですが、当社の営業はまだ先が見えてきません。少しでもお客さまのお役に立てますよう、変革を進めてまいります。
 いつもご利用ありがとうございます。今月もどうぞよろしくお願いいたします。

  


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

"The Practice of Management" Peter.F.Drucker


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