利益の三つの役割
梅雨空にコロナウィルスを洗い流してくれ、と祈る毎日です。みなさまいかがお過ごしですか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、ドラッカーの『現代の経営(上)』「第7章 事業の目標」より引用します。
利益には三つの役割がある。
第一に、利益は事業活動の有効性と健全性を測定する。まさに利益は事業にとって究極の判断基準である。
第二に、利益は陳腐化、更新、リスク、不確実性をカバーする。この観点から見るならば、いわゆる利益なるものは存在しないことになる。事業存続のコストが存在するだけである。こうしたコストを生み出すことは、企業の責任そのものである。
第三に、利益は、直接的には社内留保による自己金融の道を開き、間接的には事業に適した形での外部資金の導入誘因となることによって、事業のイノベーションと拡大に必要な資金の調達を確実にする。
これら三つの機能のいずれも、経済学者のいう利益の最大化とは何ら関係がない。これら三つのいずれの機能も、最大ではなく最小に関わる概念である。事業の存続と繁栄にとって必要な利益の最小限度に関わる概念である。
『現代の経営(上)』 p104より引用
新型コロナウィルス感染症の蔓延によって、お客さまが活動をお控えになっておられますので、当社の仕事も「ほぼ」と言っていいほど、なくなってしまいました。このような時期だからこそ、テクニカルな話はやめて、原点に返らなくては、と思っております。
ドラッカーが指摘した利益の役割の二つ目「利益は陳腐化、更新、リスク、不確実性をカバーする」という観点から考えますと、新型コロナウィルスによる不振をカバーできるだけの体制が整っていないことは、利益というものの使い道を甘く見ていた結果であります。
この状況を予想できなかったとしても、今までその刹那刹那に、やるべきことは無数にあったはずで、決算書に載っていた利益は、実は存在していなかったのです。利益を増やすという概念ではなく、必要な最小限度を見て、行動すべきでした。経営者として反省しなくてはならないことです。
大きな経済停滞が再び起こったときに、同じ状況に陥らないように、いまから別次元の新しい行動をしていかなくてはなりません。
いつもご利用ありがとうございます。今月もどうぞよろしくお願いいたします。
参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
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