2020年04月01日 10:00
事業の目標として利益を強調することは、事業の存続を危うくするところまでマネジメントを誤らせる。今日の利益のために明日を犠牲にする。売りやすい製品に力を入れ、明日のための製品をないがしろにする。研究開発、販売促進、設備投資を目まぐるしく変える。そして何よりも資本収益率の足を引っ張る投資を避ける。そのため、設備は危険なほどに老朽化する。言い換えるならば、最も稚拙なマネジメントを行うよう仕向けられる。
『現代の経営(上)』 p82より引用
事業の目標は、事業の存続と繁栄に直接かつ重大な影響を与えるすべての領域において必要である。すべての領域とは、マネジメントの意思決定の対象として考慮に入れるべきすべての領域である。
実に、それらの領域における目標が、事業の内容を具体的に規定する。事業が目指すべき成果とその実現に必要な手段を教える。ここにいう目標とは、次の五つのことを可能とするものでなければならない。
(1) なすべきことを明らかにする
(2) なすべきことをなしたか否かを明らかにする
(3) いかになすべきかを明らかにする
(4) 諸々の意思決定の妥当性を明らかにする
(5) 活動の改善の方法を明らかにする
利益の最大化という昔ながらの目標は、これら五つのことのすべてはおろか、そのいずれも満たすことができない。故に目標として失格である。
『現代の経営(上)』 p83-84より引用