われわれの事業はなにか?

米津仁志

2019年09月01日 10:00

 秋風が心地よい季節となりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
 
 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、ドラッカーには「われわれの事業は何か」という有名な問いかけがあります。当社の事業は何か?という問いに対して、飲食店は食事を提供すること、鉄道は人や物を運ぶこと、カーディーラーは自動車を売ること、と答えるのは当たり前の返答であって、間違っているわけではありません。
 しかし、AT&T(アメリカ電話電信会社)のセオドア・N・ヴェイルは「われわれの事業はサービスである」と答えたそうです。

 事業とは何かを決めるのは、生産者ではなく顧客である。社名や定款ではない。顧客が製品やサービスを購入して、自らを満足させる欲求が何であるかが事業を決める。したがって、「われわれの事業は何か」という問いに対する答えは、事業の外部、すなわち顧客や市場の立場から事業を見ることによってのみ得られる。

              P.F.ドラッカー 『現代の経営[上]』 p64-65


 経営者が「うちは飲食店だから食事を提供するのが事業だ」と答えたら、それはあまりにもプロダクトアウトの考え方であり、お客さまのことを考えていないことになります。
 お客さまはどなたか?お客さまがなぜ当社をご利用くださるのか?どうして他社ではなく当社なのか?当社のどんなところに魅力を感じてくださったのか?お客さまからお声を頂かなくては、自らの事業が何であるのか、本当のところは、分からないのです。

 当社には売り上げが減少しているお店があります。お客さまが離れていってしまったとき、正しいのはお客さまです。お客さまの考えをお店が変えることはできません。お店側の何かが間違っているのです。経営者として、お客さまの立場でお店のことを考えていかないと、自分の事業が分からなくなってしまいます。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もどうぞよろしくお願いいたします。

  


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 


関連記事