顧客の創造と働き方改革
春風が心地よい季節となりました。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、今月より働き方改革関連法が施行されます。我が国にとって、働く人の待遇改善は喫緊の課題であります。当社といたしましても、法律を遵守することは言うまでもありませんが、さらなる職場環境の改善に取り組んでいかなければ、従業員から見放されることになり、企業として生き残ることはできない、と覚悟をしております。
さて、ドラッカーは『現代の経営』(1954年)で、企業について次のように述べています。
企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。
市場は、神や自然や経済によって創造されるのではなく、企業によって創造される。企業が満足させる欲求は、それを充足する手段が提供される前から顧客が感じていたものかもしれない。その欲求は、飢饉における食欲のように、顧客の全生活を支配し、常時顧客の頭を占めていたものかもしれない。しかしそのような欲求は、単に想定されるものであって現実の欲求ではない。実際には、企業の行為が人の欲求を有効需要に変えたとき、初めて顧客が生まれ、市場が生まれる。
P.F.ドラッカー 『現代の経営[上]』 p46
ドラッカーのあまりにも有名な言葉「顧客の創造」です。企業は、社会のお役に立たなければ存在することができません。お客さまが気づいている欲求、気づいていない欲求のそれぞれについて、企業が形につくり上げ、お応えできたとき、「顧客の創造」が実現されるのです。
企業の目的が達成されてこそ、働き方改革が有効になってきます。お客さまが一人もいらっしゃらないお店には働き方改革はあり得ないのです。経営者には、経営の仕事に全力を尽くして、お店をお客さまでいっぱいにするという重大な使命が課せられています。企業の目的を果たしていない企業は、働き方改革といっても、手を打つことができません。働きやすい職場にするためにこそ、絶対にお客さまに喜んで頂かなくてはならない、と思っています。
いつもご利用ありがとうございます。今月もどうぞよろしくお願いいたします。
参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
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