イノベーションとは天才のひらめきではない

Hitoshi Yonezu

2018年01月04日 10:00

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は格別のご厚情を賜り、心より御礼を申し上げます。本年もご愛顧のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、新年を迎え、新規事業や事業の変革を検討されている方もおられると存じます。
 ドラッカーの言葉でいえば、イノベーションを起こす、ということになるかと思います。ドラッカーはイノベーションを起こすのための機会として7つを紹介しています。

 
 産業の内部に四つ
 1.予期せぬこと 2.ギャップ 3.ニーズ 4.産業の構造変化
 産業の外部に三つ
 5.人口構造の変化 6.認識の変化 7.新しい知識の獲得 
         
                 『P.F.ドラッカー経営論集』より引用


 この七つは起こりやすい順に並べられており、最も身近なものが1番の「予期せぬこと」です。これは「予期せぬ成功」「予期せぬ失敗」の両方を含みます。
 「予期せぬ成功」の事例をご紹介します。通販で販売されている卓上型の小型食器乾燥機が急に売れ出したことがあったそうです。新規顧客の利用目的を調べてみると、食器乾燥のためではなく、プラモデル愛好家が塗装したプラモデルをを乾燥させるために便利に使っていることが分かりました。主婦のために作った商品がプラモデル愛好家に喜ばれていたのです。
 
 つまるところ、イノベーションとは、天才のひらめきではなく、仕事である。それは知識を必要とする。創意を必要とする。焦点を必要とする。(中略)本当に不可欠とされるものは、目的意識を伴う激しく集中的な労働である。勤勉、忍耐、決意が欠けているならば、せっかくの才能、創意、知識も役に立たない。

                 『P.F.ドラッカー経営論集』より引用

 
 イノベーションは仕事である・・・・・・イノベーションは研究室で考えて発見するようなものではなく、目の前にある仕事に集中し、真摯な態度で取り組んでいくなかで気づき、見つかってくるものです。今年も一生懸命仕事をして、お客さまのお役に立つ光るものに出会いたいと思っています。

 今年一年がみなさまにとって豊かで幸せな年になりますことをお祈り申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 参考文献:
 『P.F.ドラッカー経営論集』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 


  


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