寿命100歳時代の働き方

Hitoshi Yonezu

2017年09月01日 10:00

 秋風が心地よい時節となりました。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、最近『ライフシフト』という本が売れているそうで、私も読んでみました。簡単にまとめますと、将来、人類の平均寿命が100才にになると予測し、100歳時代にふさわしい生き方、働き方を準備していかなくてはならない、という内容です。

 私は読みながら、この内容は昔ドラッカーが指摘していたことだなー、と感じました。この本ほど詳しくは論じていませんが似たようなことを述べています。興味のある方は『明日を支配するもの』の第6章を読んでみてください。

 『ライフシフト』もドラッカーも論じたように、将来は雇う雇われるという関係だけでなく、さまざまな働き方を選択する人が増えていくのだろうと思います。
 そういう時代においては、出世のために働くとか、どのような地位についたか、ということを重視する思考は無意味です。〇〇派についたから出世した、〇〇から嫌われたから不遇である、というような話はいまだによく聞きますが、そこを超越していく個人でであり、組織でなくてはならないと思います。

 ポスト資本主義(この言葉は古いですが考え方は古くありません)について、ドラッカーは次のように述べています。

 民主的という言葉は、政治や法律の言葉だ。参加的などという最近はやりの言葉も使いたくない。権限移譲という概念はもっと悪い。権限を一番下にもっていっても進歩にはならない。それは依然として権限だからだ。成果をあげるには、権限に代えて、責任を中心に据えなければならない。
 私は管理者という言葉もあまり使いたくない。部下の存在を想定してるからだ。エグゼクティブという言葉を使いたい。支配ではなく、責任を意味しているからである。

                   『P.F.ドラッカー 経営論集』 p147


 上司が部下を管理する組織形態は、軍隊などでは有効でしょうが、企業ではもはや古びたものになりつつあります。

 これからの組織は、上司と部下の関係ではなく、一人ひとりの人間とその支援者の関係になっていく。これまでの一〇〇年間、組織の骨格や構造は、地位と権力の組み合わせだった。これからは、理解と責任の組み合わせでなければならない。

                   『P.F.ドラッカー 経営論集』 p147


 いま、政府の働き方改革が進められていますが、制度の変更は働き方の中の一部にすぎません。会社は働いてくれる社員、パートナーを絶対に守っていかねばなりませんが、働く人も自律して自らの力で組織に貢献し、成果をあげていかねばなりません。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。
 
 参考文献:
 『ライフシフト』 リンダ・グラットン (東洋経済新報社)
 


 『明日を支配するもの』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 『P.F.ドラッカー経営論集』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 


  


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