ミッションと道徳

Hitoshi Yonezu

2016年08月01日 10:00

 残暑お見舞い申し上げます。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、ほとんどのみなさまは何らかの形でインターネットの検索機能を使っておられると思います。私も検索をしない日はないといっていいくらい、グーグルを利用しております。
 グーグルは世界で最も働きやすい会社といわれています。『ワーク・ルールズ!』は、その人材採用、育成、評価、チーム作りの方法を教えてくれる本です。グーグルの人事システムを設計した人事担当上級副社長のラズロ・ボックによるものです。

 その中にグーグルのミッション(使命)についての記述がありました。グーグルのミッションは次のようなものです。

 世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする


 一般的な企業のミッション(または経営理念)とは少し違う感じですね。説明を読んでみましょう。
 
 グーグルのミッションは、簡潔である点と、多くのことが話題になっていない点で際立っている。利益も市場も出てこない。顧客、株主、ユーザーにも触れていない。これがわが社のミッションなのはなぜか、これらの目標を追求しているのは何のためなのかもわからない。むしろ、情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることが良いのは自明だと考えられている。
 この種のミッションが個人の仕事に意味を与えるのは、それが事業目標ではなく道徳だからだ。歴史上きわめて大きな力を振るった運動は、そこで求められたものが独立であれ平等な権利であれ、道徳的な動機を持っていた。こうした考え方を拡張しすぎたくはないが、革命を起こすのは利益や市場シェアではなく理念だと言っていいだろう。

               『ワーク・ルールズ!』 p64より引用


 道徳という言葉にびっくりしました。ミッションが道徳とは!!!。しかし、ミッションが道徳だからこそ、グーグルは世界中を突き動してきたのです。

 社員が自社と自分の仕事に自信を持つことができて、社会を動かすようなミッションが企業には必要だということです。それは顧客や事業内容のことを説明するようなものではなく、世界の新しい仕組みを作るような大きなものです。

 ドラッカーでいえば、三つの成果のうち「価値への取り組み」に近いのではないか、と思います。(cf.『経営者の条件』p81)

 私はこの本を読んでから、ずっと考えています。私がわが社の経営を通じて作り上げたい道徳は何なのか・・・・・・???

 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。
 
 参考文献:
 『ワーク・ルールズ!』 ラズロ・ボック (東洋経済新報社)
 

 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 


  


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