経営者に贈る5つの質問
日増しに秋の深まりを感じます。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、我が国において人口が減少しているのはよく知られていることです。はっきりと見えてきたことに対しては誰もが何らかの手を打とうとします。
ドラッカーは『明日を支配するもの』(1999年)において、企業にはまだ気づいていないことがある、と指摘しました。
人口構造の変化と同じように重要でありながら、経営戦略上ほとんど関心を払われていない二一世紀の現実として、支出配分の変化がある。二一世紀に入ってからの数十年というものは、この支出配分の変化が、人口構造の変化と同じように大きな意味をもつ。
『明日を支配するもの』 p57より引用
企業は人口の減少を知っていても、自社が提供する商品、サービスに対する支出割合が変化していることには疎い、ということです。
私が子供のころ(昭和40年代)、町内には魚屋さん、肉屋さん、喫茶店、ねじやさん、洋傘店、小鳥店、ミシン店、金魚屋さんなどがあり、それぞれ賑わいを見せていました。いろいろなお店があって楽しい雰囲気でした。いまでは街の様相はまったく変わってしまいました。
事業を取り巻く環境の変化は必ずしも明確に見えるものではありません。それぞれの事業の前提となるものは水面下で静かに変化しています。経営が下手だからうまくいかないのではなく、事業の前提となっていたものの変化に気が付かないことが問題なのです。
そこで、ドラッカーは経営者に5つの質問を投げかけました。
1.われわれのミッションは何か?
2.われわれの顧客は誰か?
3.顧客にとっての価値は何か?
4.われわれにとっての価値は何か?
5.われわれの計画は何か?
『経営者に贈る5つの質問』より引用
これらの質問の文章は平易ですが、答えるのは簡単ではありません。一度出した答えがずっと有効というわけではなく、環境変化に対応するために繰り返し問いかけていくべきものです。
何ごとにも満足することなく、すべてを見直していかなければならない。だが最も見直しが求められるのは、成功しているときである。下向きに転じてからでは遅い。
明日の社会をつくっていくのは、あなたの組織である。そこでは全員がリーダーである。ミッションとリーダーシップは、読むもの、聞くものではない。行うものである。
『経営者に贈る5つの質問』 p7-8より引用
平穏無事だと感じているときに行動を起こすことが求められます。
当社は問題だらけで、私自身、自分にまったく納得できておりません。しかし、こんな文章を書くことができるのはまだ自分に余裕があるからです。経営者としてなすべきことを早急に実行しなくてはいけないと感じます。
いつも当社をご利用いただき、ありがとうございます。今月もご指導のほどよろしくお願いいたします。
参考文献:
『明日を支配するもの』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
『経営者に贈る5つの質問』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
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