経営理念をつくった経緯

Hitoshi Yonezu

2015年06月01日 10:00

 日ごとに暑さが増してまいりました。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 最近、ある調査で当社の経営理念のできた経緯について質問をされました。
 
 数年前に私が作ったものです。そのとき、すでに自分でつくった経営理念がありましたが、内容に満足していなかったので、改めて作り直しました。

 迷ったことは、どの範囲のことまで書けばいいのか?ということです。分野ごとに書きたいことは大体決まっていましたが、どこからどこまで書けばいいのかが分かりませんでした。何が必要で何が不要か?ということです。全部書いてしまうと経営理念としては長すぎるだろうと思いました。
 企業の経営理念を集めた本やホームページを通じて、上場、非上場、いろいろな企業の経営理念を拝見しましたが、統一された形はありませんでした。

 悩んだ結果、ドラッカーの『経営者の条件』に書いてある「組織の三つの領域における成果」を参考にすることにしました。

 あらゆる組織が三つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成である。これらすべてにおいて成果をあげなければ、組織は腐り、やがて死ぬ。したがって、この三つの領域における貢献をあらゆる仕事に組み込んでおかなければならない。 

          P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 第3章 p81より引用


 三つの成果(直接の成果、価値への取り組み、人材育成)を経営理念に謳うことにしたわけです。(当社の経営理念の本文は下の欄に掲載されております。)

 私の思いはこめられていますし、必要なものは含んでいて、組織にもしっくりしてきている、と自分では思っています。社内に浸透させるように会議などで都度確認をしております。

 最近のドラッカー研究によれば、ご紹介した文章は「どのような貢献ができるか」の章に書かれていますし、文章中にある「成果」について原文ではperformanceとなっており、「成績」や「業績」と翻訳するほうが近いのではないか、という解釈もあるようです。

 For every organization needs performance in three major areas

 (”The Effective Executive” p55)


 となると、この三つは目標にすべきであって、目的としての経営理念にするのはおかしい、という話になってしまいます。

 しかし、私としてはここ数年間この経営理念で当社をまとめてきまして、社員の納得度も高いので、いまの段階としては、この理念のもとに経営を進めていきたいと考えております。

 経営理念の変更については、してよいという人としてはならないという人といますが、私は伝統などの制約のある企業でないのなら、経営者、企業の成長と社会の価値観、倫理観の変遷に合わせて、変更してもよいのではないかと思っています。

 経営理念のもとに、お客さまのお役に立つよう努力してまいります。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 末筆となりますが、みなさまのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

 いつもご利用ありがとうございます。

  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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