事業の目標

Hitoshi Yonezu

2015年04月01日 10:00

 桜の便りが次々に聞かれるこの折、みなさまいかがお過ごしでございましょうか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、今回は、事業において何を目標にするべきなのか、ドラッカーから繙いてみます。
 
 今日、目標管理すなわち目標によるマネジメントについての議論のほとんどが、「唯一の正しい目標」を探求するものである。しかしそれは、賢者の石を探し求めるように空しいだけではない。明らかに毒をなし、誤って人を導く。
 例えば、事業の目標として利益を強調することは、事業の存続を危うくするところまでマネジメントを誤らせる。今日の利益のために明日を犠牲にする。

               『現代の経営(上)』 p82より引用


 ドラッカーは事業において利益を始めから目標にしてしまうことをよしとしません。利益は目的ではなく結果である、とはよく知られた言葉です。ただ、現実の世界においては、企業の目的は利益の最大化であることを明言し、大きな成果を上げている経営者が多く存在します。

 では、利益が目標でないとしたら、いったいどのように目標を定めればよいのでしょうか。『マネジメント』には次のように述べられています。

 (1) 目標とは「われわれの事業は何か。何になるか。何であるべきか」という問いから導き出されるものである。
 (2) 第二に、目標とは、行動のためのものである。具体的な仕事と成果に、そのままつながるものである。仕事と成果にとって、基準となり動機づけとなるものである。
 (3) 第三に、目標とは、資源と行動の集中を可能にするものである。事業活動のうち重要なものを区別し、人、金、物という主たる資源の集中を可能にするものである。
 (4) 第四に、目標とは、一つではなく、複数のものである。
 (5) 第五に、目標とは、事業の成否に関わる領域すべてについて必要である。

              『マネジメント(上)』p128-129より要約して引用


 ドラッカーは目標を定めるべき事業の領域として、次の八つを挙げています。

 (1) マーケティング
 (2) イノベーション
 (3) 人的資源
 (4) 資金
 (5) 物的資源
 (6) 生産性
 (7) 社会的責任
 (8) 必要な条件としての利益

                 『マネジメント(上)』p130より引用


 八つ目に「利益」が掲げられていますが、これはその前に並ぶ7つの領域の目標を達成するために必要な利益です。目標を達成し事業を続けるための費用として利益なのです。
 例えばバザーは一回で終わりです。最大の利益をあげて会計を締め、そのお金を何かに活用できれば、みんながハッピーです。しかし、企業となると終わりがありませんから、継続させていくためにさまざまな手立てが必要となります。
 八つの領域にわたる目標を考えてみますと、利益だけを目標にすることは単純すぎるし大まかであると思えてしまします。

 ドラッカーはもう40年以上前に企業の存続を念頭においた目標設定を考えていました。利益は事業の経営に絶対に必要なものですが、あくまでも後からついてくるものです。ドラッカー流の経営としては、目標の数字を追いかけていくという態度ではなく、企業の存在価値や顧客の創造という観点から目標を導き出さねばなりません。
 
 今年の上田城の千本桜はどんな姿を見せてくれるでしょうか。どうぞお身体ご自愛くださいませ。今月もどうぞよろしくお願いいたします。

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 参考文献:
  『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

 『マネジメント 課題、責任、実践(上)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

  


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