第二の人生を始めるには
ドラッカーの『明日を支配するもの』第6章「自らをマネジメントする」より引用いたします。
前回「第二の人生」をご紹介しました。
ドラッカーは「第二の人生」について次の三つの方法を提示しています。
1.組織や仕事を変わるなど、文字通り第二の人生をもつこと。
2.パラレルキャリア、非営利組織などでもう一つの世界をもつこと。
3.ソーシャル・アントレプレナー(篤志家)になること。
P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p226-229より引用
いまの日本においてはどれもあまり一般的に行われてはいないかもしれません。
すぐにできることでもありません。
しかし、第二の人生をもつには、一つだけ条件がある。本格的に踏み切るはるか前から、助走していなければならない。
P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p229より引用
このあとに出てくる文章はドラッカーのやさしさのようなものを感じる部分です。
知識労働者にとって、第二の人生をもつことが重要であることには、もう一つ理由がある。誰でも、仕事や人生で挫折することがあるからである。
P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p230より引用
知識労働者の世界は厳しいです。ただし、そこでうまくいかなかったとしても、それが人生のすべてではありません。
知識社会では、成功が当然のこととされる。だが全員が成功するなどということはありえない。ほとんどの人間にとっては、失敗しないことがせいぜいである。成功するものがいれば、失敗する者もいる。
そこで、一人ひとりの人間およびその家族にとっては、何かに貢献し、意味あることを行い、ひとかどとなることが、決定的に重要な意味をもつ。すなわち、第二の人生、パラレル・キャリア、篤志家としての仕事をもつということは、社会において、リーダー的な役割を果たし、敬意を払われ、成功の機会をもてるということである。
P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p231より引用
企業ではうまくいかなかったとしても、非営利組織にいけばうまくいく可能性があるのです。いずれかの組織で貢献していたいというのが人情でしょう。
企業の経営者としては、社員にはできる限り長く働いてほしいですが、もしもいまの仕事に合わないのなら、もっと自分を生かせる仕事に就いたり、自分に合う企業に転職したほうが、個人、企業、それぞれお互いのためになるかもしれません。
第二の人生の一番目、仕事や組織を変わることについては、政策によってもっとやりやすくなることができるのではないかと思っています。
40歳を過ぎたら転職するのはかなり難しいといういまの我が国の労働市場のあり方はどうなのか?と私は思っています。
参考文献:
『明日を支配するもの』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
『7つの習慣』 スティーブン・R・コヴィー (キングベアー出版)
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