意見の不一致を必要とする

Hitoshi Yonezu

2014年08月05日 10:00

 『経営者の条件』の第7章「成果をあげる意思決定とは」より引用します。

 エグゼクティブが直面する問題は、満場一致で決められるようなものではない。相反する意見の衝突、異なる視点との対話、異なる判断の間の選択があって初めて、よく行いうる。したがって、決定においてもっとも重要なことは、意見の不一致が存在しないときには決定を行うべきではないということである。 

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』p198より引用


原文では次のように表現されています。

Decisions of the kind the executive has to make are not made well by acclamation.They are made well only if based on the crash of conflicting views,the dialog between different points of view,the choice between different judgments.The first rule in decision-making is that one does not make a decision unless there is disagreement.

”The Effective Executive” p148

 
 ここが重要ですね。

 The first rule in decision-making is that one does not make a decision unless there is disagreement.



 ・・・・・・社長がYesといえばYesで、NoといえばNoでした・・・・・・

 オーナー系の中小企業にはよくあることです。

 うちの会社も昔はそうでした。
 
 社長のことを一目置いてくれるのはありがたいですし、部下である社員はそうすべきだとは思いますが、会議の場において上司の顔色を気にして誰も何も言わないようでは、会社としての機能が果たされていないのではないかと思います。

 企業を標榜するのであれば、家業ではないということです。社長やその家族のご機嫌をうかがうのが社員の仕事ではないでしょう。

 ワンマン社長のほうがいい、ということを聞くこともありますが、それは良さの一面をとらえているだけであって、ワンマン社長といえども永遠に生きていてくれるわけではありません。ワンマン社長というのはある意味で家業のシステムと似ているのです。

 エグゼクティブたる社長は周りのみんながいつも賛成しているときに、あるいは黙って下を向いているときに、喜んでいてはいけないわけです。

 不審を感じなくてはなりません。
 

 acclamation (称賛・賛成の)喝采、歓呼 『リーダーズ英和辞典 第2版』
 
  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

  ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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