行動に変える

Hitoshi Yonezu

2014年07月24日 10:00

 連続して『経営者の条件』の第6章に紹介されている成果をあげる意思決定の5つのステップをご紹介しています。

 (1) 問題の多くは原則についての決定を通してのみ解決できることを認識していた。
 (2) 問題への答えが満たすべき必要条件を明確にした。
 (3) 決定を受け入れられやすくするための妥協を考慮する前に、正しい答えすなわち必要条件を満足させる答えを検討した。
 (4) 決定に基づく行動を決定そのものの中に組み込んだ。
 (5) 決定の適切さを検証するためにフィードバックを行った。
 
 これらが、成果をあげるうえで必要とされる意思決定の五つのステップである。

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』p165より引用


 四つ目の「決定に基づく行動を決定そのものの中に組み込んだ。」についてです。

 決定を行動に変えなければならない。決定において最も困難な部分が必要条件を検討する段階であるのに対し、最も時間のかかる部分が、成果をあげるべく決定を行動に移す段階である。決定は最初の段階から行動への取り組みをその中に組み込んでおかなければ成果はあがらない。
 事実、決定の実行が具体的な手順として誰か特定の人の仕事と責任になるまでは、いかなる決定も行われていないに等しい。それまでは意図があるだけである。

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』p181-182より引用


 決定が具体的な手順となり、誰かの仕事と責任に振り分けられるまでは、何も決定していない事と同じです。

 会議の場で「○○をやろう」と決めることは多いでしょう。

 しかし、多くの場合、具体的な手順や責任者までは決めないで終わってしまいます。
 
 これでは会議の意味がありません。

 ドラッカーが「それまでは意図があるだけである」と述べているのは皮肉に聞こえます。
 
 さらに、次のような記述があります。

 決定を実施に移し成果をあげるには、応々にして関係者が行動や習慣や態度を変えることが必要になる。したがって、行動のための責任が明確にされ、責任を与えられた人たちが必要な行動をとらなければならない。評価の基準、仕事の水準、動機を変えなければならない。さもなければ彼らは、心理的な葛藤によって行動できなくなってしまう。

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』p184より引用

 
 決定を実行に移すように設計され、仕事が振り分けられ、責任を与えられても、その人物が本当に動くかどうか、ということが大問題です。

 いつまでも行動できない人もいます。

 まずはその人物が自分の行動や習慣を変えることが求められます。

 次には、組織として、その人物を評価する基準や仕事の遂行の度合いなどを変えて、成果を評価できる体制にしなくてはなりません。

 それでもだめなら、違う担当者を探す事になります。

  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

  ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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