何が正しいか

Hitoshi Yonezu

2014年07月15日 10:00

 このところ連続で『経営者の条件』の第6章に紹介されている成果をあげる意思決定の5つのステップをご紹介しています。

 (1) 問題の多くは原則についての決定を通してのみ解決できることを認識していた。
 (2) 問題への答えが満たすべき必要条件を明確にした。
 (3) 決定を受け入れられやすくするための妥協を考慮する前に、正しい答えすなわち必要条件を満足させる答えを検討した。
 (4) 決定に基づく行動を決定そのものの中に組み込んだ。
 (5) 決定の適切さを検証するためにフィードバックを行った。
 
 これらが、成果をあげるうえで必要とされる意思決定の五つのステップである。

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』p165より引用


 今日は三つ目の「決定を受け入れられやすくするための妥協を考慮する前に、正しい答えすなわち必要条件を満足させる答えを検討した」についてです。

 決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。満たすべき必要条件を満足させるうえで何が正しいかを知らなければ、正しい妥協と間違った妥協を見分けることもできない。その結果間違った妥協をしてしまう。

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』p180より引用


 会議では参加者の顔ぶれを思い浮かべて、あらかじめ受け入れられやすい答えを考えてしまうことがあるかもしれません。それでは正しい意思決定にはなりません。

 そもそも「何が受け入れられやすいか」「何が反対を招くからいうべきでないか」を心配することは無益であって時間の無駄である。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがた障害となって現れる。換言するならば、「何が受け入れられやすいか」からスタートしても得るところはない。それどころか通常この問いに答える過程において大切なことを犠牲にし、正しい答えはもちろん成果に結びつく可能性のある答えを得る望みさえ失う。

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』p181より引用

 
 その通りですね。納得するばかりです。

 仕事の問題の発端のほとんどは対人関係から起こっているでしょう。

 衝突は頻繁に起こると思いますが、それを避けることを優先してはならないと思います。

 苦手な人の顔が浮かんだとしても逃げることなく、勇気をもって「何が正しいか」を詰めていかねばなりません。

 今夜はドラッカー入門読書会第6回目です。

 よい一日をお過ごしください。


  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

  ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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