必要条件を明確にする

Hitoshi Yonezu

2014年07月14日 10:00

 『経営者の条件』の第6章「意思決定とは何か」に紹介されている、成果をあげる意思決定の5つのステップは次のの通りです。

 (1) 問題の多くは原則についての決定を通してのみ解決できることを認識していた。
 (2) 問題への答えが満たすべき必要条件を明確にした。
 (3) 決定を受け入れられやすくするための妥協を考慮する前に、正しい答えすなわち必要条件を満足させる答えを検討した。
 (4) 決定に基づく行動を決定そのものの中に組み込んだ。
 (5) 決定の適切さを検証するためにフィードバックを行った。
 
 これらが、成果をあげるうえで必要とされる意思決定の五つのステップである。

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』p165より引用


 二つ目の「問題への答えが満たすべき必要条件を明確にした。」についてです。

 決定が満たすべき必要条件を明確にしなければならない。意思決定においては、決定の目的は何か、達成すべき目標は何か、満足させるべき必要条件は何かを明らかにしなければならない。決定が成果をあげるには必要条件を満足させなければならない。すなわち目的を達しなければならない。

          P.F.ドラッカー『経営者の条件』p174より引用


 原文でご紹介します。
 
The second major element in the decision process is clear specifications as to what the decision has to accomplish.What are the objectives the decision has to reach?What are the minimum goals it has to attain?What are the conditions it has to satisfy?In science these are known as "boundary conditions." A decision, to be effective,needs to satisfy the boundary conditions.It needs to be adequate to its purpose.

”The Effective Executive” p130


 前に「必要条件」は原文ではboundary conditions (境界条件)だということを示しました。ここでも科学の言葉としてboundary conditionsが紹介されています。

 続きの部分です。

 必要条件を簡潔かつ明確にするほど決定による成果はあがり、達成しようとするものを達成する可能性が高まる。逆に、いかに優れた決定に見えようとも、必要条件の理解に不備があれば成果をあげられないことが確実である。

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』p175より引用


 目的がなければ何もなしえません。まずは目的をはっきりさせることです。

 そして目的の達成のために、目標を設定し、必要な条件を満たさなくてはなりません。

 意思決定を実行に移す際には、その実現のために何が必要なのか、冷静になって検討することです。 

  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

  ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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