劣後順位の決定
ドラッカーの『経営者の条件』第5章です。
前回は、圧力によって仕事の重要度を決めると起こる三つのことをご紹介しました。続きです。
実は、本当に行うべきことは優先順位の決定ではない。優先順位の決定は比較的容易である。集中できるものがあまりにも少ないのは、劣後順位の決定、すなわち取り組むべきでない仕事の決定とその決定の遵守が至難だからである。
P.F.ドラッカー『経営者の条件』p148-149より引用
原文では次のように表現されています。
The job is,however,not to set priorities.That is easy.Everybody can do it.The reason why so few executives concentrate is the difficulty of setting "posteriorities"---that is,deciding what takes not to tackle---and sticking to the decision.
”The Effective Executive” p110
前回まで、優先順位をどう決めるか、という話をしていたのですが、ここで、実は大切なのは「劣後順位」なのだという話に急転回します。
劣後順位の決定とは「取り組むべきでない仕事の決定とその決定の遵守」のことです。
優先順位priorityに対して、劣後順位はposteriorityという言葉が使われています。
リーダーズ英和辞典によると、posteriorityは後であること、次であること、を意味します。
誰もがどんなときでも常に優先順位を決めています。日常生活も日々の仕事も、小さい優先順位の決定が連続している状態といっていいでしょう。優先順位の決定は難しいことではないのです。
ドラッカーも、優先順位の決定は簡単にできる、と書いています。
"That is easy.Everybody can do it"
しかし、普段から劣後順位を考えて行動している人はいません。劣後順位の決定は、至難です。
the difficulty of setting "posteriorities"
なぜなら、劣後順位は自然には出来なくて、考えなくては出来ないことだからです。
そして、劣後順位を考え出すと、その順列の決定を邪魔するものがどんどん出てきてしまいます。
モノを捨てるのに「断捨離」という方法が流行りましたが、それと似ています。
何かを後に回そうと(捨てようと)するとそれを阻止する魔物が出てきます。
そこを遮断できるか?です。
ドラッカーの劣後順位に対する解説は改めてご紹介します。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
関連記事