仕事を設計する
昨日ご紹介した部分は、やってくれる人がいないので、とりあえずそこにいる人にその仕事をやらせてみたらどうなるの?という話でした。
続きです。逆のパターンが示されています。
『経営者の条件』第4章「人の強みを生かす」より引用します。
そのような事態への対策として最も喧伝されている治療法が、手元の人間に合うように職務を構築し直すことである。しかし、きわめて単純な小さな組織を別として、そのような治療は病気よりも害が大きい。仕事は客観的に設計しなければならない。人の個性ではなく、なすべき仕事によって設計しなければならない。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 第4章p107-108より引用
今度は、必要な仕事に合う人がいないというのなら、いまいる人ができるように仕事を変えてしまえば・・・・・・という話です。
Aさんには訪問営業は難しそうだから、電話営業だけさせよう、Bさんは女性客は苦手そうだから男性客だけやってもらえればいいよ、とか、そんな感じです。
これは荒治療ですね。人に合わせて仕事を変えれば、組織そのものが変わってしまうことは分かり切っています。組織の目的を果たすのも難しくなっていくでしょう。
仕事は客観的に設計せねばなりません。
それには理由があります。
しかし、仕事を客観的かつ非属人的に構築しなければならないということには、もう一ついわく言いがたい理由がある。すなわちそれこそが組織が多様な人間を確保する唯一の道だからである。人の気質や個性の違いを認め、かつ助長するための唯一の方法だからである。組織における多様性を確保するには、人間関係を人ではなく仕事を中心に構築しなければならない。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p109より引用
強みを生かすためには仕事が客観的に設計されていることが必要です。それが多様な人間を確保することにつながります。
こういうことも述べていますよ。
人に合わせて仕事を構築するならば、組織は情実となれ合いに向かう。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p109より引用
人に合わせて仕事を組めば、同僚からさまざまな不満が上がってくるでしょう。「あの人だけ簡単な仕事させて」「えこひいきだ」など・・・・・・
担当者が退職したからといって、身近にいる人をとりあえずその職務に充てるのもいけませんし、逆に、いまいる人がやりやすいように仕事内容を変えてしまうのもいけません。
これらのことは当たり前のことのように聞こえますが、つまり、仕事の設計をしなくてはならないということなのです。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
参考ブログ:仕事の設計
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1209651.html
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