人の配置と仕事の配置
『経営者の条件』第4章「人の強みを生かす」より引用します。
人の強み、特に同僚の強みを生かすことのできる者はなぜ稀なのか。リンカーンのようなひとでさえ、なぜ強みをもとに人を選ぶまで人を選ぶまで三回も弱みを意識して人事を行ったのか。
主たる理由は、目の前の人事が人の配置ではなく仕事の配置として現われているからである。したがって、ものの順序として仕事からスタートしてしまい、次の段階としてその仕事に配置すべき人を探すということになるからである。そうなると、最も不適格な人、すなわちもっとも無難な人を探すという誤った道をとりやすい。結果は凡庸な組織である。
『経営者の条件』 p107より引用
後半の文章は、原文では次のように表現されています。
The main reason is that the immediate task of the executive is not to place a man; it is to fill a job.The tendency is therefore to start out with the job as being a part of the order of nature.Then one looks for a man to fill a job.It is only too easy to be misled this way into looking for the "least misfit"---the one man who leaves least to be desired. And this is invariably the mediocrity.
”The Effective Executive” p76
例えば、営業を担当している人が急に退職してしまったとき・・・・・・
経営者や上司は困ってしまいます。
営業の人がいないと、お客さまにご迷惑になってしまうし、仕事も回りません。
なんとしてでも誰かをその仕事のにつけなくてはなりません。
お客さまからのお問い合わせも来ているので、とにかく急いでいます。
そうだ!製造部門のAさんは、誰からも好かれる性格だし、話もうまそうだから、彼に営業をしてもらおう!
さて、その結果は・・・・・・
仕事の配置とは、こんな感じでしょうか。
人材がいないから、とりあえず、いまいる人材で埋めてみようというのが、仕事の配置です。
英語では以下の部分ですね。
"The tendency is therefore to start out with the job as being a part of the order of nature.Then one looks for a man to fill a job"
無難な人を配置した結果、凡庸な組織になるだけです。
なぜこうなるかというと、よさそうだと思えだだけのAさんをとりあえず配置したからです。Aさんの強みを生かした配置ではないからです。
このようにして、とりあえずといって人を配置すると、組織では強みが生かされなくなっていってしまいます。
misled misleadの過去形、過去分詞形
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
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