なすべきことをなす

Hitoshi Yonezu

2014年05月01日 10:00

 青葉が目にまぶしい今日このごろ、みなさまいかがお過ごしでございましょうか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 先日社内会議で、ある社員が言葉遣いを注意されてました。

 「仕事が多くて大変だ」「忙しくていやになる」などの発言が上司の耳に入ったようでした。

 当社では売上げや利益の数値目標は掲げていません。営業担当者には、新規のお客さまを探すよりも、まずはいま来てくださっているお客さまを大切にするようにと指示をしています。
 原価やコストの基準値はありますが、それを守れなかったとしても、説明できる明確な理由があるのなら、数字だけを根拠にして社員を責めるようなことはいたしません。

 われわれが目標にしていることは、お客さまの求める状態をつくることです。

 かような目標のもとでは、お客さまのお役に立てる準備ができるはずですし、社員もそれほどあせらなくてもよいでしょう。

 しかし実際には、サービス業は人手不足が続いておりますし、ピークタイムが重なってしまう仕事ですから、忙しさはなかなか解消されず、お客さまにご迷惑をおかけしてしまうこともございます。

 たくさんのお客さまに来ていただいていることは本当にありがたいことなのに、自分の問題に転換して仕事が大変だと思ってしまう内向きな考え方が問題です。

 組織に所属する個人は自分のために仕事をすべきではありません。
 
 ドラッカーは次のように述べています。

 貢献に焦点を合わせることによって、自らの狭いスキルや部門ではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向ける。自らの専門やスキルや部門と、組織全体の目的との関係について徹底的に考えざるをえなくなる。政策にせよ、医療サービスにせよ、自らの組織の産出物の究極の目的である顧客や患者の観点から物事を考えざるをえなくなる。その結果、仕事や仕事の仕方が大きく変わっていく。
 
          『経営者の条件』 p79より引用


 「やりたいことをやる」から「なすべきことをなす」にパラダイムを変えなくてはなりません。

 組織の成果に対して「なにをもって貢献するのか?」と考えるようになったとき、その人の仕事は大きく変わるでしょう。

 それによって発する言葉も変わります。

 お客さまのお役に立って、社会で価値のある存在となるために、私は求める成果を明確に伝えます。そして社員一人ひとりに対して、それぞれの貢献を求めます。
 
 今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。

 末筆となりますが、みなさまのご健勝と益々のご発展を心よりお祈り致します。
 
  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 
 

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