貢献と責任

Hitoshi Yonezu

2014年04月11日 10:00

 『経営者の条件』第3章「どのような貢献ができるか」より引用します。

 貢献に焦点を合わせるということは、責任をもって成果をあげるということである。貢献に焦点を合わせることなくしては、やがて自らをごまかし、組織を壊し、ともに働く人たちを欺くことになる。


          『経営者の条件』 p84より引用


 原文では次のように表現されています。

Commitment to contribution is commitment to responsible effectiveness.Without it,a man shortchanges himself,deprives his organization,and cheats the people he works with.

”The Effective Executive” p58


 『経営者の条件』にしばしば登場する「貢献」と「成果」。

 原文では主にcontributionとeffect(effective,effectiveness)という言葉が使われています。

 そもそも原題自体が”The Effective Executive”です。

 effectは「効果」という意味、とずっと思ってきました。学校で学んだ英語の影響です。

 私が初めてeffectの意味を考えたのは、コヴィー博士の『7つの習慣』を読んだときです。

 この本の原題は"The 7 habits of highly effective people"です。

 当初「効果的な人たち?何のことだろう?」と思っていましたが「充分に成果をあげる人たち」と考えれば納得できるようになりました。

 英和辞書のeffectの項には、いまだに「成果」という言葉は出てきていません。成果と訳したのは翻訳者の妙ですね。

 もともとcause and effect(原因と結果)という言葉があります。

 resultと違って、effectは「原因があっての結果」と考えてよいでしょう。

 何かの行動によって引き起こされた結果=成果です。後から見たところの単なる結果と違います。

 さて、ご紹介した文章は「貢献に焦点を合わせるということは責任をもって成果をあげることである」と述べています。

 成果をあげることに責任が発生しますが、同時にその成果は信頼に足るものでなくてはなりません。

 原文では貢献にも成果にもcommitmentという言葉が使われています。

 コミットメントとは拘束のついた約束です。

 貢献すると決めたなら、必ず成果をあげるまでやらねばならないのです。


 shortchange 釣銭を少なるやる、ごまかす
 リーダーズ英和辞典第2版(研究社)

  



 参考ブログ:貢献と成果
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1467607.html


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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