人間関係のあるべき姿

Hitoshi Yonezu

2014年03月27日 10:00

 ドラッカーの『経営者の条件』第3章「どのような貢献ができるか」より引用します。

 対人関係の能力をもつことによってよい人間関係がもてるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点を合わせることによってよい人間関係がもてる。そうして人間関係が生産的となる。生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である。
 仕事上の関係において成果がなければ、温かな会話や感情も無意味である。貧しい関係のとりつくろいにすぎない。逆に関係者全員に成果をもたらす関係であれば、失礼な言葉があっても人間関係を壊すことはない。

          『経営者の条件』 p92より引用


 原文では次のように表現されています。

Executives in an organizations do not have good human relations because they have a "talent for people." They have good human relations because they focus on contribution in their own work and in their relationships with others. As a result, their relationships are productive---and this is the only valid definition of "good human relations." Warm feelings and pleasant words are meaningless, are indeed a false front for wretched attitudes,if there is no achievement in what is,after all,a work-focused and task-focused relationship.On the other hand,an occasional rough word will not disturb a relationship that produces results and accomplishments for all concerned.

”The Effective Executive” p63-64


 ・・・対人関係の能力をもつことによってよい人間関係がもてるわけではない・・・

 書店にいけば職場の人間関係に関する本が山のように並べられています。

 ドラッカーによれば、そのような書籍(心理学やコミュニケーション)を学んで人間関係を改善しようとすることは、表面的なとりつくろいにすぎない、ということになります。

 私は若い頃いくつかの企業で働きましたが、職場における人間関係ほどストレスになるものはありませんでした。

 いまは人間関係でストレスを感じることはありません。悪い人間関係もないです。

 なぜそうなったか・・・・・・

 会社においては同僚を仕事をする人として見ているからだと思います。

 貢献に焦点を合わせるということは、自分が組織に対して何ができるか?を真剣に考え、実行することです。

 同僚に対しても、その人の性格に振り回されたり、その人との相性を気にするのではなく、その人が組織に対してどんな貢献をしているかをみることです。

 嫌味な性格の同僚がいたとしても、ずるがしこい性格の同僚がいたとしても、噂好きの同僚がいたとしても、その人が法的、倫理的に間違ったことをしていない限り、視線はその人の性格に向けるのではなく、それぞれが果たすべき貢献に向けるべきです。

 「あの人とは合わない」というのは私的な生活のなかでのみ使える言い訳です。

 協同して仕事に向かい、大きな成果を成し遂げれば、人間関係は大きく変わります。

 ここですね。

 As a result, their relationships are productive---and this is the only valid definition of "good human relations."
 
 表面的なテクニックで何とかしよう、という段階から、原理原則へ自分を引き上げていかねばなりません。
 
  

 
 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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