成果に焦点を合わせる
ドラッカーの『経営者の条件』第3章「どのような貢献ができるか」より引用します。3月7日のブログでご紹介した部分の続きです。
ところがほとんどの人が下に向かって焦点を合わせる。成果ではなく努力に焦点を合わせる。組織や上司が自分にしてくれるべきことを気にする。そして何よりも、自らがもつべき権限を気にする。その結果、本当の成果をあげられない。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p78より引用
原文では次のように表現されています。
The great majority of executives tend to focus downward.They are occupied with efforts rather than with results.They worry over what the organization and their superiors "owe" them and should do them.And they are conscious above all of the authority they "should have." As a result, they render themselves ineffectual.
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business) p52
ドラッカーは「努力」”effort”という言葉をしばしば使います。
『経営者の条件』32ページのプロフィットセンターの説明にも登場していました。
参考ブログ:プロフィットセンター
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1434498.html
今回ご紹介する部分の「努力」はあまりいい意味ではありませんね。
成果をあげられない人は、成果resultsではなく、努力effortsに焦点を合わせているというのです。
努力とは「下に向かって」いるものなのでしょうか?
「努力」に焦点を合わせるということは、自分がどれだけがんばったか?とか、どんなに遅くまで残業をしたか?など、プロセスばかりに気が取られてしまうことです。
自分の気持ちを満足させようとすることばかりです。努力だけで満足するということは、玄関からの一歩は左足からとか、重要な仕事は仏滅をはずすなど、縁起を気にかけることに通ずるところもありますね。
縁起を否定はしませんが、それだけで成果が上がるなら簡単です。成果を偶然の結果にしてはいけません。努力はあくまでも個人のうちうちの話です。(ただし、大人の場合です。子供の場合は努力をしてほしいです。)
このようにして「努力」という言葉は、焦点をぼやかしてしまうのです。
内なる世界から飛び出して、上を向いて成果に目を向けなければなりません。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
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