気の進まない仕事の締め切り
ドラッカーの『経営者の条件』第2章「汝の時間を知れ」より引用します。
大きな成果をあげているある人は、緊急かつ重要な仕事とともに気の進まない仕事についても締め切りを設けたリストをつくっている。それらの締め切り日に遅れ始めると時間が再び奪われつつあることを知る。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p75より引用
原文では次のような文章です。
One highly effective man I know keeps two such lists---one of the urgent and one of the unpleasant things that have to be done---each with a deadline.When he finds his deadlines slipping,he knows his time is again getting away from him.
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business) p51
「緊急かつ重要な仕事とともに、気の進まない仕事についても締め切りを設けたリストをつくる」という翻訳文を読んで、『7つの習慣』の第三の習慣「重要事項を優先する」と似ているな~と思い、調べてみました。
翻訳文では「緊急かつ重要な仕事」となっていますが、原文にはurgentという言葉だけでimportantは出てきません。
urgentには「差し迫った、緊急の」という意味はありますが「重要」という意味はないようです。(リーダーズ英和辞典)
ここは分かりやすくするために少し意訳してあるようですね。
「気の進まない」という言葉はunpleasantで示されていますが、これはその言葉通り「おもしろくない、不愉快な、気持ちの悪い」(リーダーズ英和辞典)という意味です。
「大切だがやりずらい」という意味の言葉があるかも、と期待していたのですが・・・・・・
緊急な仕事に締め切りを設けるのは当然のことですが、気の進まない仕事についても締め切りを設けるのが、大切な点です。
『7つの習慣』でいえば、「緊急ではないが重要な事項」(第2領域)を後回しにしないで予定に入れる、というところです。
『7つの習慣』のコヴィー博士は『経営者の条件』から影響を受けた、と聞いたことがあります。(どこに書いてあるかは知りません。)
『経営者の条件』には重要と緊急のマトリクスは出てきませんが、まとまった時間を確保しそこに大切な仕事を入れていくということは、『7つの習慣』の第三の習慣に示唆を与えたかもしれません。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
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