退屈な組織
上田市近辺は昨日から交通や物流が徐々に動き始めていますが、まだ完全ではありません。昨日までの物流の不全により、今日あたり、最もものがなくなってくるのではないかと思います。
この大雪は、当社の営業にも大きな影を落としました。回復に努力いたします。
昨日は電車で長野市へ参りましたが、上田市よりは積雪が少なく感じました。いつもとは逆ですね。街には人が出ていましたが、休業しているお店が多かったです。今日は自動車で松本市へ参ります。
ドラッカーの『経営者の条件』第2章「汝の時間を知れ」より引用します。
よくマネジメントされた組織は、日常はむしろ退屈な組織である。そのような組織では、真に劇的なことは、昨日の尻ぬぐいのための空騒ぎではない。それは、明日をつくるための意思決定である。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p66より引用
ここは時間浪費の原因として挙げられた四つのうちの一つ、システムの欠陥や先見性の欠如という部分からの引用です。
「よくマネジメントされた組織は、日常はむしろ退屈な組織である。」
ドラッカーの著作には、ときどきこういうおもしろい文章が入ってくるので楽しいですね。
原文では次のように表現されています。
Similarly a well-managed organization is a "dull" organization. The "dramatic" things in such an organization are basic decisions that make the future, rather than heroics in mopping up yesterday.
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business) p42
dullは「鈍い、愚鈍な」という意味がよく知られていますが、リーダーズ英和辞典によれば「おもしろくない(本や講義が)、退屈な、単調な」という意味もあります。
heroicは形容詞としては「英雄的な、勇ましい、雄々しい」という意味ですが、名詞としては「英雄的行為」とともに「誇張した行為、スタンドプレー」という意味があるようです。これを「空騒ぎ」と翻訳したのは訳者の妙ですね。
日常的に小さなトラブルばかりが起こり怒号が飛んで大騒ぎしているような組織には、どこかに問題があるのです。
親方が部下を大声で怒鳴っているような場面を想像しますが、それは怒鳴るしか方法がない組織だからです。それは企業というより、家業の段階です。
ドラッカーは「よくマネジメントされた組織は退屈だ」といいますが、退屈だと感じるほど、ことが静かに進んでいる組織こそがマネジメントされている組織だ、と考えてもよいでしょう。
大騒ぎして部下を叱って仕事をした気持ちになったら、どこかに間違いがあると思わなくてはなりません。
今日もお足もとにお気をつけてお過ごしください。ありがとうございます。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
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