時間を整理しすぎる危険はない
ドラッカーの『経営者の条件』第2章「汝の時間を知れ」より引用します。
事実上、時間を整理しすぎる危険はあまりない。通常、誰でも自分自身の重要度については、過小ではなく、過大に評価しがちなものである。そして、あまりにも多くのことが、自分でなければできないと考える。こうして大きな成果をあげる者でさえ、多くの不必要かつ非生産的な仕事をしている。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p63より引用
原文では次のような表記になっています。
In fact, there is not much risk that an executive will cut back too much. We usually tend to overrate rather than underrate our importance and to conclude that far too many things can only be done by ourselves. Even very effective executives still do a great many unnecessary, unproductive things.
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business) p40
cut back とは、削減する、縮小する、という意味です。英文には「時間」に対応する言葉は出てきませんが、前からのつながりで、時間ということになります。
私は、仕事のことととらえてもいいように思います。
先日、ある勉強会で、社員の評価制度について学びました。
私は発表の中で、毎年春秋の二回、全社員と人事の面談をしていることを伝えました。
そのとき、先生から、それは社長がやるべきことではないのではないか、とご指摘をいただきました。
「私がやらなければ・・・・・・」という気持ちで、社員の面談をしていましたが、それはドラッカーが指摘するように、自分に対する過大評価かもしれません。
部下にやってもらっても同じようにできるかもしれませんし、下手をしたら私よりももっとうまくやってくれるかもしれません。
それに費やしている膨大な時間を、社長としてなさねばならない仕事にもっと振り分けなければならない、ということです。
なぜ、現場の仕事に時間を費やすことに熱心になるのか・・・・・・自分は家業をしている家に育って、小さいころから親や祖父母から商売の現場の話を聞いてきたからだと思います。
その日本古来の商売の精神はとても大切だと考えます。
いまではそこに加えて、マネジメントの冷静さが求められています。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
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