普通の人の集合体
ドラッカーの『経営者の条件』第1章「成果をあげる能力は修得できる」より引用します。
人類の歴史は、いかなる分野においても、豊富にいるのは無能な人のほうであることを示している。われわれはせいぜい、一つの分野に優れた能力をもつ人を組織に入れられるだけである。一つの分野に優れた能力をもつ人といえども、他の分野については並みの能力しかもたない。
したがってわれわれは、一つの重要な分野で強みをもつ人が、その強みをもとに仕事を行えるよう組織をつくることを学ばなければならない。仕事ぶりの向上は、万能な者をリクルートしたり要求水準を上げたりすることによって図られるものではない。それは人間の能力の飛躍ではなく、仕事の方法の改善によって図らなければならない。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p37-38より引用
この文章には「無能な人」という言葉が出てきますね。気になって原文を見てみましたが、意訳されているように感じました。
ここで考えたいことは、ほとんどの人は普通の人であるという事実です。
それぞれの人は強みをもっていますが、その強みの能力以外の部分は並みの能力でしかありません。
「いい人がいない」「優秀な人物がほしい」というのは経営者の口癖です。また、そういう経営者のために、いい人を紹介することを目的とする商売(人材紹介など)もあります。
現実は、求めるいい人はそうそう簡単には見つかりません。
したがって、優秀な人物が表れるのを待つことは、宝くじに当たるのを待つようなもので、経営ということとは全くかけ離れているのです。
経営者としてはその前にやらなくてはならないことがあります。
組織に所属する個人の強みを生かすことです。そして、その強みを生かして仕事が行える組織をつくることです。
マネジメントとは、優秀な人を集めるのではなく、強みをもった普通の人をもって成果をあげることです。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
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