利益を目標にすると
ドラッカーの『現代の経営(上)』より引用いたします。
例えば、事業の目標として利益を強調することは、事業の存続を危うくするところまでマネジメントを誤らせる。今日の利益のために明日を犠牲にする。売りやすい製品に力を入れ、明日のための製品をないがしろにする。研究開発、販売促進、設備投資を目まぐるしく変える。そして何よりも資本収益率の足を引っ張る投資を避ける。そのため、設備は危険なほどに老朽化する。言い換えるならば、最も稚拙なマネジメントを行うよう仕向けられる。
『現代の経営(上)』 p82より引用
事業の目標(目的)は利益ではない・・・・・・
ドラッカー的な考え方ですね。
大きな組織に所属していると、この考え方はなかなか理解できないのではないでしょうか。
上司から数字のことを厳しく追及されたり、会社で数字が目標として設定されたりしていることが多いからです。
そういう体制の中にいる場合は、上からの指示命令に従わざるをえませんので、事業の目標が利益ではないなんて、信じられなくてもおかしくはありません。
オーナー系の中小企業においては、社長がこうだ、といえばそうなる可能性が高いので、よいことも悪しきことも浸透させやすいと思います。
私は自社では利益は目的ではない、と堂々と言っています。
ご紹介した文章では、利益を目標にすることで、遠くを見ないようになり、足元ばかりを見るようになることが問題だということを述べています。
ドラッカーは、事業存続を危うくする!とまで指摘しているのですよ。
利益というものは存在するものではないから、こうなってしまうのです。
なぜ存在しないのか?
利益というものは、政府によって決められた会計の規則によって計算されるものであって「結果」に過ぎないからです。
規則が変われば、利益の数字も変わります。
誤解を恐れずに言ってしまえば、幻のようなものです。
うつろいやすい幻を目標にしてしまっているところに問題があります。
手触りで分かるような確からしいものを目標(目的)にすべきなのです。
参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
『現代の経営[下]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
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