マネジメントの側面

Hitoshi Yonezu

2013年12月17日 10:00

 ドラッカーの『創造する経営者』終章より引用します。

 世界中において、今日、企業の経営幹部は、体系としてのマネジメントの経営管理的な側面に全面的にコミットしている。しかしいまや、企業家的な側面にコミットしなければならない。
 企業家精神が体系として提示され、資源が体系的に利用されたとき、教育ある素人たちも、産業社会における経済的機関としての企業が行おうとしていることを理解し、行っていることに敬意を払うようになる。そのとき初めて、社会にとって企業活動が当然の活動とされ、企業の経営幹部の貢献が世に理解されるようになる。
 
            『創造する経営者』 p305-306より引用


 「マネジメント」というと、一般的には経営管理的な側面がイメージされることでしょう。

 企業の幹部が営業、マーケティング、財務管理、人事管理などについて企画をして、実際に企業を動かす姿です。

 だから、なんとなく厳しく難しいものに感じてしまいます。

 ドラッカーは、それだけがマネジメントではない、といいます。マネジメントの企業家的な側面にもコミットしなければならない、というのです。

 企業家的な側面とは、自社が何のためにこの社会に存在しているか?ということでしょう。

 そういう側面を提示せずに、経営管理だけに勤しんでいても、社会からの理解は得られません。

 企業は社会から必要とされる一つの機関であるべきで、決して自社の利益のためだけに存在するものではありません。

 報道のネタになる企業の事件は、社会のことを考えないで自社や幹部の利益ばかりを追った末に発生したものが多いでしょう。

 ドラッカーは、企業が成長に鎬を削っていた49年も前に、企業家精神を示すことを求めていました。

  


 参考文献:
 『創造する経営者』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

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