組織のことを考える
ドラッカーの『経営者の条件』は1966年の著作ですが、序章の部分は2004年に後から付け加えられたものです。
序章には成果をあげるための八つの習慣が紹介されています。その二つ目は「組織のことを考える」です。
『経営者の条件』の序章より引用いたします。
この第二の習慣は、特に同族企業の人事において重要である。同族企業が繁栄するには、同族のうち明らかに同族外の者よりも仕事ぶりの勝る者のみを昇進させなければならない。デュポンでは、同族色の強かった初期の頃は、監査役と法務部長以外のトップマネジメントは全員同族だった。しかしその地位に上がることのできたのは、非同族による委員会において能力と仕事を認められた者だけだった。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 序章 p5より引用
ほとんどの日本の中小企業は同族で成り立っていて、同族以外の者を経営者にさせるのは少ないのが現実です。大企業においてさえも、あの人は「○○の系統だから、□□のルートにのっているんだよ」というような話はよくあるものです。
しかし、せっかく入社した会社に同族の者が優先的に出世していく暗黙の了解があることが分かったら、新入社員のやる気は失せてしまうのではないでしょうか。
評判のいい会社、業績を伸ばしている会社では、人事には客観的で厳しい選別がなされているのではないかと思います。
家族だから、親戚だからといって任せられる人がいるのは、これはこれで幸せなことですが、時間の経過とともに信頼関係が崩れて、欲望や情念が絡み合い醜い争いになってしまった例も数多あります。
「家業」として「自分と家族が食っていければいい、そのための仕事だ」というのならば、同族だけで固めるのもありだと思いますが、曲がりなりにも「企業」と標榜するのであれば、同族中心の経営のなかにわずかでも第三者の厳しい目が必要となるのだ、と思います。
参考ブログ:従弟のポール
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1279806.html
問題の解決策 1
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1279846.html
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
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