配属は本人の責任

Hitoshi Yonezu

2013年10月07日 10:00

 ドラッカーの『プロフェッショナルの条件』より引用します。

 知識労働者の啓発やその配属についての責任は、本人にもたせなければならない。「どのような任務を必要としているか」「どのような任務の資格があるか」「どのような経験や知識や技能を必要としているか」との問いを発する責任は、一人ひとりの人間自身に課さなければならない。
 もちろん、人事の最終決定は、本人の事情だけでできるものではない。組織そのもののニーズとの関係において行われなければならない。そして、その人間の強みや能力や仕事ぶりについての客観的な判断に基づいて行わなければならない。
 しかしそれでもなお、一人ひとりの人間の啓発は本人の責任としなければならない。配属の責任も、本人の責任としなければならない。

      『プロフェッショナルの条件』 Part3 1章 p110より引用



 組織に所属している者が、自分の仕事や仕事に関する知識、技能、そして配属まで自分の責任として負わなくてはならないというのは、なんだかおかしな感じもします。

 しかし、知識労働者たるものは、自分で自分の仕事を改善するのですから、そこまで踏み込んでいかねば、ことをなすことはできないのです。経営者もそれに応えるべき態勢を整えていなければならないのだと思います。

 知識労働者(knowlege worker)とは、難しい仕事をする人のことを指すのではありません。

 参考:「知識労働者が生み出すもの」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1158514.html

 近ごろ、ある勉強会の宿題として「3年後のわが社の姿を実現するために、いま何が足りていないのか?」という課題を社員から抽出してもらいました。

 うちの会社は課題だらけで、たくさんの課題が出てきたのですが、同じようなものをまとめて十数個に収斂しました。

 そのうちには、スキルアップと教育訓練に関するものや、社員、スタッフの福利厚生や職場の満足に関するものが含まれていました。このあと最も大事なことは、それを3年間でどう克服するかというアクションプランの作成とその実行です。

 自分ができていないと感じているところ、不満に感じているところを人任せにして、上司や経営者に改善を要求するだけならば、普通の労働者(ドラッカーのいうところのmanual worker)です。

 自分で考え、決定して、改善できれば、それでこそ知識労働者です。

 あとは経営としてどう受け止めるか、です。

 これはぜひ彼らにやってもらおう・・・・・・と思いました。

  


 参考文献:『プロフェッショナルの条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(編訳) (ダイヤモンド社)
 

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