質を決めるのは企業ではない

Hitoshi Yonezu

2013年09月20日 10:00

 ドラッカーの『創造する経営者』より引用します。

 すなわち生産者や供給者が、製品のもっとも重要な特色と考えるもの、すなわち製品の質が、時として顧客にとってまったく意味がないということである。
 メーカーの考える製品の質とは、単に生産が難しくコストがかかっているだけという場合が少なくない。しかし顧客はメーカーの苦労には動かされない。顧客の関心は「この製品は自分のために何をしてくれるか」だけである。当然である。

          『創造する経営者』 p123より引用


 昨日は一日出張していて、おもしろいことや驚いたことやいろいろあって、精神的に盛り沢山な一日でした。

 新幹線の道中は仕事をしたり、読書をしたりしました。乗り物は好きなのであまり退屈しません。
 ご紹介した文章は、『創造する経営者』を読んで、赤線を引いた箇所です。

 マーケットインとかプロダクトアウトという言葉がありますが、お客さまと企業とのずれというのは、よくありがちです。

 企業がどんなに丹精を込めて一生懸命作った自慢の製品だとしても、お客様にとって価値のあるものでなければ、商品としての価値はないのです。

 「この味が分からないのか!」

 ドラマなどで見かける職人さんの姿です。

 お客さまの答えは「分からないし、興味がない」だと思います。つくる側が自分の都合でつくったものに、お客さまが関心を寄せるはずがありません。

 お客さまがどう感じて、何を欲しがっておられるのか、何に不満を抱いておられるのか、常に収集しておく必要があるのです。

 前にスーパーホテルに宿泊したとき、チェックインの際に、アンケートをお願いをされたことを思い出しました。

 そのお願いの仕方があまりにも丁寧だったので、これだったらアンケート書かざるを得ないな・・・・・・と感じました。

 事実、スーパーホテルではかなり高いアンケート回収率を保っていると聞いたことがあります。

 お客さまのことを知ろうとしない限り、お客さまに対して、社会に対して、価値を生み出すことはできないのではないでしょうか。 

  


 参考文献:『創造する経営者』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 参考ブログ:顧客がキャンセル待ちするホテルで行われていること
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e652692.html


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