CEOの時間の使い方
ドラッカーの『現代の経営(上)』より引用いたします。
今日、CEOたる者は、考えることや計画することにもっと時間を使わなければならないと誰もがいう。しかしそれは、顧客と電話で話したり、製品や設計の細かなところをいじったり、立ち寄った客や募金を頼みに来た人に会ったり、新聞記者と話したり、販売会議に参加したりすることには、時間をあまり使ってはならないということである。あるいは、まったく使ってはならないということである。
だが、まさにそれらのことこそ、たとえCEOの仕事としては適切ではないとしても、彼の孤独を癒す役割を果たすものなのである。
『現代の経営(上)』 p233より引用
CEO(chief executive officer 最高経営責任者)は孤独だ、とよく言われます。
孤独で、しかも行動に自由があるので、ドラッカーが述べたような行動に逃げてしまいがちです。癒されに行ってしまうのです。
これらの行動は、『7つの習慣』の「時間管理のマトリクス」でいえば、第三領域(緊急だが、重要ではない)に該当します。突然の来訪や電話、急に召集される会議、お付き合い、無意味な接待などです。
やりやすいので、みんがとりあえずやりがたる人気のある仕事です。
厄介なのは、これらをしているだけで本人が仕事をしている気持ちになってしまうことです。CEOがすべき仕事ではないにも関わらず、です。
また、周りにいる者や社員たちが「社長は仕事をしているなあ」と錯覚してしまいます。
現場で忙しそうな社長に対して、社会からの称賛の目もあります。
社長は自ら貢献している気になり、社員たちは社長の仕事ぶりを喜び、社会的にも称賛され、錯覚が三重になり、悪循環に陥ります。
その状態で、業績がよく長期にわたり会社が発展していく見通しがあるというなら問題はありません。
CEOの仕事は何だろうか?何にもっとも時間を割かねばならないのか?考えることが求められます。
優先順位が分からなければ、やらない活動をはっきりさせ、劣後順位を決めることです。
参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
『現代の経営[下]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー(キングベアー出版)
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