本能と勘のマネジメント

Hitoshi Yonezu

2013年06月07日 10:00

 昨日のブログ「従弟のポール」の続きの部分です。
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1279806.html

 P.F.ドラッカーの『現代の経営[下]』より引用いたします。

 そして最後に、小企業や中企業のトップマネジメントには、視界の狭さや外部との接触の少なさというハンディがある。その結果、技術的にも経営的にも知識や能力が時代遅れとなり、さらには企業の存続とまではいかなくとも、事業の成否を左右するような社会的変化に気づかないことになる。
 マネジメントの組織に問題があることにも気づかない。何よりも、まさに事業の存続のために慎重な分析が要求されているときに、思考と計画の必要性を理解できず、本能に従い勘によってマネジメントしようとする。
 
                 『現代の経営(下)』 p68より引用


 何度振り返っても驚きますが『現代の経営』は、1954年(昭和29年)、いまから59年前の著作です。
 そのときは、日本はもちろんですが、アメリカの中小企業もこの通りの傾向だったのだろうと思います。

 その時代と今との大きな違いの一つは、企業規模による情報の格差がだいぶ少なくなってきたことではないか、と思います。

 交通網の発達、書籍など印刷物の普及、インターネットの開発などにより、さまざまな情報に誰もが比較的容易にアクセスできるようになりました。

 ドラッカーは「視界の狭さや外部との接触の少なさ」を問題点に挙げていますが、この問題は小企業であろうとも、意思と行動力さえあれば、かなりの部分は解消できるようになったのではないか、と考えます。

 その結果として「思考と計画の必要性」が理解できないということは少なくなってきているでしょう。

 そういう意味ではチャンスの多い、ありがたい世の中になっています。「本能と勘」で仕事をしている、と言われないようにしなくてはならないと思います。

  


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

 『現代の経営[下]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社) 
 

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