意見の不一致が存在しないとき
ドラッカーの『経営者の条件』の第7章より引用します。
エグゼクティブが直面する問題は、満場一致で決められるようなものではない。相反する意見の衝突、異なる視点との対話、異なる判断の間の選択があって初めて、よく行いうる。したがって、決定において最も重要なことは、意見の不一致が存在しないときには決定を行うべきではないということである。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 第7章p198より引用
この点について、『実践するドラッカー[チーム編]』には次のような解説があります。
意見が異なるのは、見ている現実が違うからです。それぞれに正しい。反対意見は、選択肢を増やす重要な役割を担っているのです。
『実践するドラッカー[チーム編]』p192より引用
会議などで意見が衝突すると、何とかして自分の意見を分からせてやろう、何とか意見を通そう・・・・・・と考えてしまいがちですが、そういう姿勢からは、よい決定は生まれないでしょう。
オーナー系の企業や、リーダーに力がありすぎる組織の場合は、権力をもっている者にそもそも腹積もりがあって、それを実現するためだけに、形だけ会議を行う場合があります。
会議の参加者はただうつむいてうなずくばかりです。会議を開催する意味がないのです。
このような会議ばかりが続くと、参加者も「どうせあの人の言うとおりに決まるんだ・・・・・・」と思うようになり、参加者の意欲は低下し、会議はますます衰退化していきます。
こういうリーダーは往々にして身の程知らずですので、ますますのさばっていくことになります。
組織は最終的にはその人物の人生に託されることになってしまいます。
オーナー系中小企業のトップはこのようになってしまう要素をもっています。常に我が身を省みたいことです。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
『実践するドラッカー[チーム編]』 上田惇生(監修) 佐藤等(編著) (ダイヤモンド社)
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