組織の中の人間

Hitoshi Yonezu

2013年04月16日 10:00

 ドラッカーの『ポスト資本主義社会』第2章より引用します。

 ということは、組織の中の人間はすべて、それなくしては組織としての成果が生まれないような死活的に重要な貢献を行っているということである。しかしなおかつ、彼らは独力では、いかなる成果も生み出せない。
 したがって、成果をあげる組織では使命が明確に規定されている。しかも組織としてあげるべき成果も、明確かつ誤解のないよう定義されている。そして可能な限り、測定できる形において成果が定義されている。

      P.F.ドラッカー 『ポスト資本主義社会』 第2章 p75より引用


 組織が大きな成果をあげていたとしても、その中で成果に貢献した一人一人が目立つことはありません。
 
 しかし、その目立たない一人一人がいなかったならば、組織は成果をあげることはできません。

 組織の中の個人は「死活的に重要な貢献」を行っているにも関わらず、独力では何もできない、という矛盾を抱えた存在であるともいえるのです。

 個人が自由に移動できる現代社会において、組織がその個人と有機的に関係を結び、成果に向かって進むためには、組織に明確な使命が必要になります。

 外部に対して意味のない使命、あるいはやりがいのない使命しか示すことのできない組織に人は集まらないでしょう。

 組織の成果は外部にあります。外部に対して使命のない組織は存続が危うくなるのです。 

  


 参考文献:
 『ポスト資本主義社会』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)


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