社長の意思決定

Hitoshi Yonezu

2013年04月18日 10:00

 ドラッカーの『現代の経営[下]』第16章より引用いたします。

 問題はあくまでも、社長が何をしたいかではなく、社長が企業のために何をすべきかにある。これは社長に限ったことではない。誰が意思決定をなすべきかについて、客観的なニーズでなく個人的な好みが優先するならば、成果をあげる組織も優れた仕事も不可能である。
 事業が成長の足固めに失敗し、倒産はしないまでも縮小していく最大の原因は、もはや社長が行うべきでない意思決定をいつまでも社長自らが行っていることにある。 


            P.F.ドラッカー 『現代の経営[下]』 p8より引用


 社長は自分の会社で何を意思決定するかについて、自分一人で決めることができます。

 社長に限らず誰もが、人情として、自分の好きな仕事、自分の得意な仕事について、いつまでも意思決定を続けていたいものです。

 過去の経験からお客さまのことを一番よく分かっているつもりになっていますし、経理のことも、人事のことも分かっていますから、すべてに口を出したくなります。下手をしたら、ボールペンはこの種類がいい、コピー用紙はこれだ、なんていう社長もいるかもしれません。

 ただ、経営のトップにある者がいつまでも些末な事柄の意思決定にこだわっているのはいかがなものでしょうか。経営者がすべき大切なことをする時間が削がれますし、従業員との信頼関係も醸成されません。
 
 ドラッカーは、事業が縮小していく最大の原因は「もはや社長が行うべきでない意思決定をいつまでも社長自らが行っていることにある」と述べています。

 オーナー系の企業においては、社長はもちろん、社長ではない古参の権力者のような人も、自分の仕事を囲い込んで、その意思決定だけは誰にも渡さないようにがんばっている場合もあります。本人は一生懸命なのですが、組織からみたら迷惑な存在です。

 意思決定の権利を手放すことは、心配であり、寂しいことですが、そうしなければ、事業は大きくはならないということです。

 経営の存続が難しくなる局面も出てくるのではないかと考えます。 

  


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

 『現代の経営[下]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社) 
 

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