従業員社会
ドラッカーの『ポスト資本主義社会』第2章より引用します。
従業員社会において、従業員は組織を必要とする。組織なくしては、彼らは生産することも仕事をすることもできない。しかし、彼らには移動の自由がある。しかも、彼らは、彼らの生産手段すなわち知識を身につけたまま移動する。
P.F.ドラッカー 『ポスト資本主義社会』 第2章 p88より引用
かつては業界に通じている者か、働いた経験のある者しか、その業界に転職できなかったはずです。技能や仕事は知識に体系化されておらず個々人の秘密だったからです。
いまや仕事の情報は公開されています。仕事に知識を適用する者は、業種を問わず、どこの組織へ行っても活躍できる時代になりました。
これからは、忠誠心を給与によって獲得することはできない。忠誠心は、知識労働者たる従業員に対し、業績と自己実現のための卓越した機会を提供することによってのみ獲得できる。ついこの間まで、われわれは労働者について論じていた。今日では人的資源について論じている。組織に対し、いかなる貢献をすべきか、知識によってどれだけ貢献するかを決定する者は、まさに知識労働者たる従業員自身だからである。
P.F.ドラッカー 『ポスト資本主義社会』 第2章 p89より引用
いずれの業種のいかなる職種においても、労働者は知識労働者たりえます。
知識労働者は自身の知識を適用して、組織に貢献します。組織は知識労働者が貢献する場です。ここにおいて組織と知識労働者は対等にお互いを必要とします。
「組織は道具である」という所以です。
経営者は知識労働者を報酬のみによって引きつけておくことはできなくなりました。知識労働者の仕事はその人の人生や自己実現と深く関わるようになっています。経営者はその場を提供する者でなければなりません。
参考文献:
『ポスト資本主義社会』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
参考ブログ:「組織は道具である」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1225781.html
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