コストセンターとプロフィットセンター
ドラッカーの『ポスト資本主義社会』第2章より引用します。
企業の内部にはコストしか存在しない。プロフィットセンター(なんと私自身がつくった言葉だが)は誤称である。企業の中にはコストセンターしかない。顧客が製品やサービスを買い、代金を支払ってくれて、初めて利益は生まれる。
P.F.ドラッカー 『ポスト資本主義社会』 第2章 p73より引用
企業の内部に利益はない・・・・・・
最初に読んだときにはこの考え方の意味がまったく分かりませんでした。
簿記や財務会計を少しかじった人は、一年という期間を区切って計算すれば、利益なり損失なりが出てくると考えます。それが普通です。
しかし、ドラッカーの指摘をよくかみしめてみれば、利益というのは法律や原則に基づいて計算した結果出てきた数字であって、あくまでも架空のものであるわけです。
もしも、決算の期間を一カ月にすべしという法律があったとしたら?もしも一日にすべしという法律があったとしたら?あるいは、経費算入の規則が変わってしまったら?利益と思っていたものも一瞬にして損失に変わってしまうのです。
そういう意味では、目の前に確かにあるのはキャッシュだけなのです。
利益とは内部で計算するものではなくて、外部にあって、お客さまが決めてくださるものです。
こう考えてくると、企業の経営において利益の獲得を目指していくことはおかしな話に思えてきます。
参考文献:
『ポスト資本主義社会』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
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