マネジメントの真の意味とは
「米津さんは、マネジメントの本当の意味を知っていますか?」
数年前、ある先生にお会いしたとき聞かれた質問でした。
「マネジメント?マネジメントって経営のことじゃないのですか?」
他に意味があるのだろうか・・・・・・私にはそれ以上の説明ができませんでした。
英和辞典を開けば、managementの項には、「管理、経営、取扱い、操縦、経営者」などの訳語が並んでいます。
ドラッカーはマネジメントの発明者と呼ばれています。ドラッカーのマネジメントはいわゆるマネジメントとは違うのでしょうか。
ドラッカーの『プロフェッショナルの条件』Part1 1章「ポスト資本主義社会への転換」26pより引用します。
第二次世界大戦中とその直後、私が初めてマネジメントについて研究を始めたころ、経営管理者とは、「部下の仕事に責任をもつ者」と定義されていた。換言すれば、ボスだった。地位と権力を意味した。
今日にいたるも、多くの人が、マネジメントというと、おそらく心に描くであろう定義が、これである。しかし五〇年代の初めにはすでに、経営管理者とは、「他の人間の働きに責任をもつ者」と定義されるようになっていた。しかも今日、われわれは、この定義さえ、あまりにも狭義であることを知っている。正しくは、「知識の適用と、知識の働きに責任をもつ者」である。
『プロフェッショナルの条件』p26より引用
知識が重要な資源となったいま、どの業界でどんな仕事をしていたとしても、誰もが知識労働者になりえます。
知識労働者を地位と権力、つまり昔のボス的な立場で管理することはできないでしょう。
知識労働者が効果的に働き組織が成果を生むためにはマネジメントが必要なのです。
冒頭の質問を私に投げかけた先生の答えは、紹介した文章とはまた少し違うものでしたが、真意をたどると近いといえます。
マネジメントとはなにか?・・・・・・正解はないかもしれません。
しかし、いまでは格好のいい言葉となって、マネジメントができるとかできないとか、マネジメントをするとかしないとか、あまりにも軽々しく使われていると思います。
参考文献:『プロフェッショナルの条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(編訳) (ダイヤモンド社)
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