アメリカの貿易とは
山田順さんの『円が消滅する日』より引用します。
アメリカは世界覇権国である以上、世界のモノすべてをドルという自国通貨で買える。ということは、アメリカにとって世界は全部国内市場であり、国際間の取引を「貿易」と呼ぶなら、アメリカはそれをしていないのである。
さらに、ここで重要なのは、世界経済に決定的な影響を持つ石油は、事実上ドルでしか取引できないことだ。旧イラクやイラン、そしてロシアなどが石油取引を一部ユーロにしたことがあるが、ほぼすべての国で石油代金の決済はドルで行われている。
このドルでないと石油は買えないという点は大きく、ドルを刷れば石油を手に入れられることにおいて、アメリカドルは最強の通貨であり、アメリカの覇権は揺るがないのである。
『円が消滅する日』より引用
この本は元光文社ベーパーバックス編集長で、ジャーナリストの山田順さんが、円通貨の将来についてまとめたものです。週刊誌の編集にも携わっておられた方だけあって大変読みやすい文章ですいすい読めます。
山田さんの本は前にもご紹介したことがあります。
参考ブログ:『資産フライト』を読んで
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e861481.html
アメリカの今後の景気についてはまだ不安がありますが、世界の覇権を維持できるかということについては、リーマンショック後の「アメリカ危うし」の論調はだいぶ和らいでいるように感じます。
この本のように「アメリカはやはり強い」という話をする人も出てきています。
山田さんは、アメリカを世界のルールメーカー、グローバル資本主義の管理者だとし、それ以外の国はそのルールの上でプレイをさせられてきたのだと述べています。
紹介した文章に書かれているように、ドルが基軸通貨であることは決定的な強さです。仮に世界中のどこへ行ってもドルが通用するならば(それに近いものがありますね)、世界中が国内であるのと同じことだからです。
アメリカはニクソンショックやプラザ合意など、自国が有利になるルール変更を突然行った過去があります。
今後のアメリカの状況はよく見つめていきたいと思います。
参考文献:『円が消滅する日』 山田順 (日文新書)
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