意見の不一致

Hitoshi Yonezu

2012年07月09日 10:00

 ドラッカーの『経営者の条件』第7章より引用します。

 栓をひねらなければ想像力も出てこない。その栓が意見の不一致である。
 成果をあげる者は意図的に意見の不一致をつくりあげる。そうすることによって、もっともらしいが間違っている意見や不完全な意見によってだまされることを防ぐ。選択を行い、決定を行えるようにする。実行の段階で、その決定に欠陥があったり間違ったりしていることが明らかになっても、途方に暮れることはない。さらに自分だけでなく同僚たちの想像力も引き出してくれる。意見の不一致はもっともらしい決定を正しい決定に変え、正しい決定を優れた決定に変える。

                P.F.ドラッカー『経営者の条件』より引用


 独裁型経営者の場合、自営業の場合、組織の中に声の大きな者がいる場合、そういう人が意見をいうと、どうしてもその人に従わざるを得ない状況になってしまいます。

 自営業の場合は、自分で創業して自分で実行して自分で責任をとるのだからよいだろうという考え方も理解できますが、自営業にも利害関係者はいるのです。事業の継続性や従業員のことを考えれば、刹那的なものの見方はよいとはいえません。

 会議の中でもっともらしい意見が出たとしても、短時間ではそのことが本当に正しいか証明はできませんし、できたとしても、自社に応用して成功するかどうかはまた別の話です。

 別の意見や反対意見が出ない場合には、経営者としては、わなが仕掛けられているのではないか、と疑わなくてはならないのです。

 力の強い人が弱い人に向かって意見を聞いても、なかなか言いずらいのが現実でしょう。誰でも発言できる環境を作らねばなりません。それでも意見も質問もしない人は後で責任を逃れるためでしょうか?少し無責任な感じがします。

 対案が出て丁々発止になっているときは、議論が深まっていることに喜ぶべきです。

 最終的にはトップの方が決断をするのですが、そこまでの「みちのり」をつくって、議論を豊かにしたいと思います。

  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

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