新しいものを始めるときには

Hitoshi Yonezu

2012年06月04日 10:00

 ドラッカーの『経営者の条件』第5章より引用します。

 新しいもののために新しく人を雇うことは危険である。すでに確立され順調に運営されている活動を拡張するには、新しく人を雇い入れることができる。だが新しいものは、実績のある人、ベテランによって始めなければならない。新しい仕事というものは、どこで誰かがすでに行っていることであってもすべて賭けである。
 したがって経験のある人ならば、門外漢を雇って新しい仕事を担当させるなどという賭けを倍にするようなまねはしない。よそで働いていたときには天才に見えた人が、自分のところで働き始めて半年も経たないうちに失敗してしまうという苦い経験を何度も味わっている。

                 P.F.ドラッカー『経営者の条件』より引用


 順調に運営されている事業や部門を拡張させる場合には、門外漢の新人でもよいのですが、新しい事業を始めるときにはその事業についてのベテランに担当させなければならないということです。
 
 当たり前といえば当たり前のことです。

 新しい人に新しいものをやらせたら丸投げになってしまうからです。

 ただ、実際の企業活動においては、どうしても新人を起用せざるを得ないこともあります。私はそういう失敗を経験したことがあります。

 同じ業界内の転職でも、会社が変わると前のようにはうまくいかないということがあります。逆にもっとよく活躍できるようになったという話も聞きます。会社によって経営の方法やルールが違うためです。

 よそで働いていたときには天才に見えた人・・・・・・こういう人を見つけると、うちの会社に来てほしいなあと思うのですが、うまくいくかどうかはうちの経営次第ですし、その人が会社の考え方に共感できるかということも大いに関係します。
 新人のために会社のルールを変えるということはあり得ません。

 他社の人材ばかりに目がいってしまう、あまりにも人に頼る経営は、不安定感を増します。 

  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

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